中国の新築住宅価格、主要都市9割で下落 8月
 (出典:2024年9月14日 日本経済新聞)
もう20年以上も、日本の主要メディアは「中国バブルの崩壊」を煽ってきたわけですが、それを信じた日本企業や個人投資家は機会損失で儲けられなかったという不幸が起きました。
習近平の中国で「消費崩壊」の驚くべき実態…!上海、北京ですら、外食産業利益9割減の衝撃!
 (出典:2024年9月3日 現代ビジネス)
しかし、今、中国国内では本当に不動産バブル崩壊が起きており、大都市の北京や上海の飲食店もピーク時からの利益が9割減少したとのことです。つまり、中国経済の屋台骨はマンションを中心とした不動産投資であったということです。
だから、鉄鋼や建設資材、家電、そして自動車などの需要が「減る」と、投資額も「減る」するようになり、同時に飲食店などで消費する人も「減り」、雇用も「減り」、所得も「減る」という1990年代前半に日本が経験したことが起きているわけです。
また、地方の省政府も民間の不動産開発会社に土地の利用権を譲渡して収入を得ていましたが、中央政府からの補助金が打ち切りとなり、公務員(共産党員)と民間企業のサラリーマン関係なく、ほぼ全員の所得が「減った」ことになります。
そもそも、不動産バブル崩壊のきっかけをつくったのは中央政府であり、習近平政権がコロナ騒動中の2020年に不動産開発会社の借り入れを厳しく規制をしたことが原因でした。1990年に日本政府(海部政権)が実施した「総量規制」と全く同じ政策であり、これから中国では「失われた〇〇年」が始まるかもしれません。
そういう意味では、中国に投資しなかった日本企業や個人投資家は助かったことになり、ますます中国の印象を悪くしていきます。先日、中国・上海と香港に住んでいる友人とメッセンジャーで話しましたが、スーパーやホームセンターでは在庫の品薄が起きていると聞きました。
1991年から2000年の約10年間、私はアメリカに滞在していたので日本がバブル崩壊した時代を肌で感じることができませんでした。だから、一体どのような影響がビジネスや日常生活に影響を与えたかはわかりません。
しかし、2000年に日本に帰国した時は、食料品や衣類などほとんど全ての商品価格が安くなっており、デフレ経済が始まっていたことに気づいた記憶があります。日本のデフレ経済は25年以上も続いていましたが、貧富の格差で安い商品だけが売れる時代でもなくなりました。
「土地バブル、バブル崩壊、そして証券化へ」
 (出典:2018年2月 不動産研究)
今後、中国でも当分は安い商品しか買わない(買えない)時代が続き、10年後くらいに「不動産証券バブル」が引き起こされるかもしれません。それでも不動産価格はピーク時に戻ることはなく、しばらくは不良債権を抱えた銀行や企業が経営破綻する事態が続きます。
たとえ一党独裁の共産党政権であっても、金融緩和だけで景気を回復させることは不可能です。なぜかと言えば、欧米のグローバル企業が中国市場から撤退し、外国人投資家が資金を引き上げて日本や韓国、東南アジア諸国などに移動させたからです。
それでも中国政府は、大規模な「積極財政(日本は緊縮財政)」で不良債権を処理し、中国経済を活性化するために「戦争経済」に突入することが考えられます。すでに、銀行などに公的資金を注入しており、経営再建に取りかかっているとのことです。
ゴールドマンとシティ、中国の24年成長率予測を4.7%に引き下げ
 (出典:2024年9月16日 ロイター通信)
24年度成長率0.9%に下げ 個人消費鈍化、物価2.8%上昇
 (出典:2024年7月19日 日本経済新聞)
実際に、不動産バブル崩壊が起きた後も中国経済の成長率は4.7%(予測値)であり、成長率0.9%の日本よりはまだマシです。ちなみに、好景気だと言われてきたアメリカの成長率は2.7%であり、いかに日本の景気が悪いかがわかります。
科学技術大国「中国」が上位独占、インドも急伸…Natureの研究ランキング。日本の存在感は?
 (出典:2024年6月20日 ビジネスインサイダー)
中国政府の具体的な経済政策としては、これから不動産投資から防衛や宇宙、エネルギー、AI、半導体、ロボット産業、そして量子技術分野などの最先端テクノロジーに構造転換していくことです。つまり、世界中に製品を販売するということです。
日本の主要メディアは中国が世界一の科学技術大国であることを報道しませんが、第4次産業革命の中核となる産業分野のほとんどでアメリカや日本を抜いていることは明らかです。
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