中国医薬が新型肺炎で果たした役割とは? 総有効率90%以上
(出典:2020年3月24日 人民日報)
中国では、今回の新型コロナウイルス専用として新しく処方された「清肺排毒湯」によって新型コロナウイルス肺炎を治療したと報じられています。
成分として、麻黄や炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、タクシャ(沢瀉)、チョレイ(猪苓)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、サイコ (柴胡)、フキタンポポ(款冬花)、ヤカン(射干片)、サイシン (細辛)、サンヤク (山の芋)、キジツ(夏蜜柑)などが入っています。
当然、日本ではこれら全ての生薬を手に入れることができませんが、日本では漢方エキス製剤が市販されており「麻杏甘石湯」、「胃苓湯」、そして「小柴胡湯加桔梗石膏」の3つを同時に服用して代用することができると言われています。
中医薬「清肺排毒湯」の新型肺炎に対する有効率97% 重症化例はゼロ
(出典:2020年3月17日 人民日報)
清肺排毒湯の効果については、中国国家中医薬管理局が正式に発表し、調査では10省の57の指定医療機関で700人に処方し、130人が退院し、270人に改善が見られ、213人に症状がとまったと報告されています。
そのうち、350症例が詳しく分析され、高熱で苦しんでいた111人の患者のうち52%が常温に戻り、咳に苦しむ215人の47%が短期間で改善したと報道されています。
当然、今回の新型コロナウイルス専用として新しく処方された「清肺排毒湯」を中心とした中国の臨床実験に対して批判はあるようで、イギリスの科学誌「ネイチャー」は、副作用などを発見する十分な臨床試験が行われていないとして、処方することを危険視しています。
しかし、中国は新型コロナウイルスに効果があると確認された「清肺排毒湯」などの漢方薬の大量生産を行い、国内で無償援助として行われ、海外にもすでに輸出しているようです。
漢方薬、新型コロナ感染症の劇症化予防に有効中国・中医薬管理局
(出典:2020年4月18日 AFP BB News)
漢方薬の製薬会社は、イタリアやフランスなどに新型コロナウイルス用の漢方薬を無償で寄贈しています。また、イラクやシンガポール、そして韓国などにも相当数の漢方薬を寄贈しているということです。
「清肺排毒湯」だけではなく、新型コロナウイルスによって肺炎を防ぐ気管支炎などの治療薬をタイで販売する許可を政府から得たようです。すでにブラジルやインドネシア、モザンビーク、そしてルーマニアの各政府から認可を得ています。
しかしながら、漢方薬というのは、欧米諸国では新型コロナウイルスの症状を緩和する特効薬として認められていないわけです。欧米諸国からは、中国に対して厳しい治験を求めており、その結果が出ない限り認可を出そうとはしないはずです。
ところが、様々な国で漢方薬の効果が確認されており、特効薬として世界的に認められるようになれば、漢方薬の需要は世界的に増えていくものと思われます。一方、日本国内でもドラッグストアなどでもツムラやクラシエの漢方エキス製剤が販売されています。
現在市販されている漢方エキス製剤の中には、「清肺」と名の付く漢方薬がいくつか目にすることがありますが、今回の新型コロナウイルス専用として新しく処方された「清肺排毒湯」とは、用途も効果も全く別物であるようです。参考のために一応、リンクを入れておきます。
製品名クラシエ辛夷清肺湯エキス細粒
(出典:今日の臨床サポート)
清肺湯(セイハイトウ)
(出典:ツムラ)
マスクやアルコール消毒液が品切れの中、何も買わずに帰れない人たちがとりあえず漢方薬を試していることが分かりました。まずは風邪に効くとされる葛根湯から飲み始め、次に補中益気湯が人気があるようです。
5月から世界各国で経済活動が再開されることで、それがきっかけとなって6月にアメリカでは感染爆発の第二波が起きる可能性は高いと思います。そうした中で、漢方薬の効果が認識されるようになれば、中国が新型コロナウイルス治療を制することになりかねません。
欧米の大手製薬会社(ビッグファーマ)には、そもそも漢方薬のノウハウはなく、中国の実質的な独占状態にあります。もし中国が漢方薬を政治的な影響力を拡大するための手段として使うようになれば、あらゆる面でアメリカに差をつけることができるわけです。
このことは、中国にとって強力な外交政策上の手段となり、11月頃に襲ってくる第二波では中国を中心に感染予防の政策が実施されることになります。
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