アルゼンチンの物価上昇率276%に 33年ぶり高水準
(出典:2024年3月13日 日本経済新聞)
なぜ北海道夕張市が、深刻な財政難から財政再建団体となって財政破綻となったのかと言えば、借金(債務)を返すまで許さない債権者がいるからです。
ところが、世界にはアルゼンチンのような国家が借金を返さず、逆に踏み倒そうとする動きが始まっています。昨年12月に大統領選挙で当選したハビエル・ミレイは経済学者であり、「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれています。
経済の立て直しに向け、新たに300項目以上の法改正や規制緩和などを盛り込んだ緊急の大統領令に署名したと発表し、大統領令には貿易や不動産取引をめぐる規制の撤廃や、国営企業の民営化、医療分野の規制の緩和、そして通貨ペソの為替レートの大幅な切り下げを実施しました。
その結果、アルゼンチンの消費者物価指数は前年同月比で276%も上がり、食料品やバス、電車料金、ガソリンや灯油価格がさらに高騰しました。しかし、ミレイは借金の踏み倒しを断行するつもりです。
そもそも、アルゼンチンがどこから借金しているのか言えばアメリカの巨大銀行です。55億ドル(約8200億円)の返済期限が数ヵ月後に迫っていますが、ミレイ政権は債務を再編するための法案を議会に提出し、承認・可決させる見込みです。
2月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産 42件 4カ月連続で40件台に、小康状態が続く
(出典:2024年3月8日 Yahooニュース)
例えば、日本でもコロナの影響で売り上げが減少した個人事業者や中小企業に対して、実質無利子・無担保で融資を行いましたが、中小企業は最大で3億円が実質無利子で借りられ、返済が滞った場合でも元本の8割あるいは全額を信用保証協会が肩代わりする仕組みになっています。
しかし、返済できなくて倒産する会社が増えています。会社経営者は、債権者である銀行や信用保証協会から厳しい言葉を浴びせられ、会社を解散するか再編することで従業員がリストラ(解雇)されるわけです。
このことは自治体や国家でも起こり得ることで、アルゼンチンは債務不履行を理由に破産宣言をすることで借金返済を諦めてもらおうとしています。アメリカの金融機関はニューヨークのウォール街に集中しており、再び地方銀行の連鎖破綻が始まろうとしています。
「20年にわたる統治の衰え」断罪する格付け会社、米国債を格下げ
(出典:2023年8月2日 朝日新聞)
そもそも、アメリカ連邦政府自体がアルゼンチン以上の借金を抱えており、いつか必ずFRBやJPモルガン銀行などからの借金を踏み倒そうとするはずです。つまり、米国債の信用が失われて米ドルの価値がゼロになるということです。
現在、世界で最も米国債を保有しているのが日本であり、次にヨーロッパ諸国や中東の産油国と続いています。だから、もし米国債の価値が大幅に下落した場合、日本の財務省や日銀はアルゼンチンと同じように通貨の切り上げを行うものと考えられます。
今、為替レートは1ドル=147円台の円安傾向にありますが、これから1ドル=100円台を下回る円高がやってくるかもしれません。財務省や日銀による通貨切り下げ方法とは、7月3日の新紙幣交換後に渋沢栄一の1万円を一桁減らして1000円にするという「デノミネーション」です。
1990年代以降のデノミネーションの例として、まず1993年にウルグアイが自国通貨のペソを1000分の1に切り下げており、当時ハイパーインフレ状態のユーゴスラビアも自国通貨ディナールを10億分の1に切り下げています。
また、2005年にトルコは新しいトルコリラを発行し100万分の1に、ルーマニアも1万分の1に切り下げています。さらに、2009年に世界で最もハイパーインフレ化したジンバブエは、1兆分の1のデノミを実施し、戦争状態になくても起こり得ることがわかりました。
【ギリシャ元財務大臣が解説する】 「借金をチャラにする」のが経済にとても役立つワケ
(出典:2022年9月22日 DIAMOND online)
最近では、2021年にベネズエラが100万分の1に、2022年にはシエラレオネが1000分の1のデノミを実施しています。ちなみに、2015年にEU加盟国でユーロ圏のギリシャが債務不履行に陥りましたが、EUとIMF、そして銀行から見事に借金を踏み倒しました。
厳密には、ギリシャ国債の約8割が棒引きされ、残りの2割をギリシャ国民が財産税などで負担したわけです。そもそも、現行の金融システムは銀行だけが儲かるようになっており、企業や個人、国家の命運までもディープステートが握ってしまっています。
要するに、一度でも借金するとどこまでも手先(銀行員)に雇われた借金取りが追いかけてきます。借金しないのが一番ですが、場合によってはそうも言って言われません。だからこそ、これから借金を踏み倒す時代に突入していくということです。
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