「金」価格、3営業日連続で最高値更新…中東情勢の緊迫化で「安全資産」の需要高まる
(出典:2023年10月30日 読売新聞)
2022年は、ロシアとウクライナの戦争でインフレ(物価高)が始まり、生活に必要な灯油やガス、ガソリン価格が高騰しました。
そして、今年2023年もパレスチナとイスラエルの戦争で原油価格が上昇し始め、これから寒くなる北日本では円安と灯油価格が気になる季節となりました。唯一、円安で価格が上昇して得しているのが金(ゴールド)価格です。
GDP予測、日本は4位転落 23年にドイツが逆転、響く円安
(出典:2023年10月23日 共同通信)
金価格が連日のように史上最高値を更新しているということは、つまり国内外情勢が確実に悪化している証拠です。商品やサービスが売れなくなり、株価も下落トレンドが続いています。GDP(国民総生産)でも、日本はドイツに抜かれて世界第4位に落ちたと報道されています。
実体経済が悪化したのは消費税が8%に上げられた2014年からですが、コロナ前の2019年も消費税10%導入で諦めた会社経営者が多数存在していました。ドイツはすでに景気後退(リセッション)入りしていますが、なぜ日本のメディアはそれを認めないのでしょうか?
米国にたまるマグマ、貯金は減りカード債務は過去最高、格差拡大が貧困層直撃 「リセッション入りしない」という楽観論は危ない
(出典:2023年9月7日 JB press)
一方、アメリカでは個人消費が増えているということで、楽観論と悲観論が交互に報道されています。つまり、株価の乱高下でボロ儲けする人間たちをメディアが支えているということです。他方、そのことを知らない多くの一般人が犠牲になっているわけです。
アメリカ在住の友人たちと話していると、いよいよアメリカ経済は暗い雰囲気が漂っているのを強く感じます。金利上昇で事業者ローンを返済できない企業や、住宅ローンの返済に追われる個人が窮地に立たされています。
急激に住宅や新車が売れなくなり、小売業者の売り上げが半減しています。また、クレジットカードの延滞率が増えたのと企業の倒産数が増えているのは、隠されてきたバブル崩壊が起きているとしか考えられません。
日本でも、株価が上がらずに「損切り」する個人投資家が増えてきました。じりじりと下落する株価に耐えきれなくなり、投資熱が冷えて売却しているとのことです。このように思い雰囲気が金融市場にも広がっており、これから悪いニュースが増えてくると社会情勢が不安定であることが認知されていきます。
ただし、一部の少数派(逆張り)の人たちは不安定な情勢をチャンスと見ています。なぜかと言えば、景気が悪くなれば価格が上がる商品やサービスもあるからです。彼らにとって、倒産件数が増え、失業率が上がれば上がるほど利益が増えることになります。
FRBの年内利上げ予想が後退、パウエル議長発言受け
(出典:2023年10月20日 Reuters)
たった1年半で政策金利を5%台にまで上げたアメリカの中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)は、9%まで上がったインフレ率を3%台まで下げさせました。そして、これから逆に政策金利を2%台まで下げる動きに出ようとしています。
なぜかと言えば、金利が高いままでは企業が銀行からカネを借りにくくなり、事業を縮小するか、撤退するしかなくなるからです。つまり、売上や利益が減るのは確実であり、これからさらに大量リストラが始まることになるわけです。
その結果、失業率が上がればさらに景気が悪くなり、倒産する企業も増えることが予想されます。そして、株価も下がるので金融資本主義と産業資本主義ではやっていけなくなります。これが現代の資本主義社会の構造です。
要するに、FRBがアメリカ経済を破壊していることがわかります。昨日からFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、おそらく金利を上げるのを中止してしばらく様子を見るために金利を据え置きするものと思われます。
国際現物金価格、2000ドル値固めへ
(出典:2023年10月31日 三菱マテリアル GOLD PARK)
もし金利が下がれば企業は銀行からカネを借りやすくなり、これまで異常に事業を拡大することができるようになり、売上や利益を増やすことができるかもしれません。しかし、問題は米国債と米ドルの信用が世界的に失われつつあることです。
だから、円建て金(ゴールド)価格が、毎日のように史上最高値を更新しているのはその証拠です。イスラエル・ハマス戦争が始まる前、金価格は下落していましたが、開戦後の上昇が止まらなくなっています。
正に、不安定な社会情勢が逆にチャンスとなっています。本日11月に入ったことで、歴史法則では株価暴落の可能性はかなり低下しています。これから、株式が積極的に買われるようになるかもしれませんが、数ヵ月後にはまた同じことが起きるのが金融市場の特徴です。
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