トランプ大統領が敵視する「ディープ・ステート」とは何か(前)
一方、「ディープ・ステート」の運営で中心的な役割を果たしているのが軍産的な複合体である民間企業です。ITや軍事関連の企業には必ず極秘に存在している部署・部門があり、それが「ディープ・ステート」の運営を行っているというわけです。
歴代のアメリカ大統領によって、これに関する大統領の関与が大きく異なっています。まず、「USAPS」がスタートした当時のアメリカ大統領がアイゼンハワー大統領であったことがわかります。しかし、次第に肥大化してアイゼンハワー大統領でもコントロールできない規模になったていきます。
次に、1960年代のケネディー大統領は「ディープ・ステート」がもはやコントロールできなくなっていることに強い危機感を持ち、これを公表しようとしていたと言われています。ところが、その情報を国民に公表しようとしたことが原因で暗殺されたわけです。
また、あまり知られていませんが、1979年代のニクソン大統領も「ディープ・ステート」の存在を公表しようとした大統領の一人と言われています。しかし、ウォーターゲート事件とスキャンダルで辞任を余儀なくされています。当然、これは公表を望まない「ディープ・ステート」の実働部隊が行ったことです。
さらに、1980年代のカーター大統領は「ディープ・ステート」については知らされていなかったとされています。カーター政権時のCIA長官はジョージ・ブッシュ(父)元大統領であったわけですが、彼こそ「ディープ・ステート」のメンバーであったということです。
「ディープ・ステート(影の政府)」の存在とその内容を知りたいカーター大統領に対して、当時のブッシュCIA長官は大統領といえどもアクセス権限はないとして、リクエストを拒否したと言われています。
そして、元俳優のレーガン大統領の政権時は、ソビエト連邦によるミサイル攻撃からアメリカを守るための「スターウォーズ計画」が立案されています。そして、この計画こそ「ディープ・ステート」の隠れみのであったことを、レーガン大統領はこの事実を知っていたようです。
1990年代のブッシュ(父)大統領の政権というのは、「ディープ・ステート(影の政府)」が作った政権そのもので、この政権の高官には実際に「ディープ・ステート」のメンバーが多数入閣しています。
次のクリントン大統領は、「ディープ・ステート」の存在には関心を示さなかったようで、当時のCIA長官もその事実を知らされていなかったと言われてます。2000年代に入り、ブッシュ(息子)政権は「ディープ・ステート」が作った代理政権であったことは明らかです。ブッシュ大統領本人は関心を示さなかったようですが、チェイニー副大統領はメンバーであり、この組織の秘密を熟知していたとされています。
2009年に誕生したオバマ政権時は「ディープ・ステート」の強い抵抗に合い、情報を公表することはできなかったようです。そして2016年、ドナルド・トランプが見事に「ディープ・ステート」側のヒラリー・クリントンを破り、大統領選に勝利しました。
実際に、初期のトランプ政権の閣僚たちや委員会のメンバーの中には、金融大手ゴールデンサックスの元幹部や「ディープ・ステート」の代理人のような人物が委員会のメンバーに指名されたので、国民への公開はブロックされてしまった可能性が高いと思われます。
トランプ氏、珍しい支持率の動き 再選、厳しい水準でも
今後、2020年11月のアメリカ大統領選挙の投票日に向けて、トランプ大統領の反対勢力として米民主党のバーニー・サンダースとアレクサンドリア・オカシオ・コルテスの民主社会主義の台頭を促し、民主党のエリザベス・ウォーレンというダークホースを生み出しました。
アメリカの支配層は、この政治的混迷をもっと複雑化させ、アメリカ国内での内戦を強めていくものと思われます。2020年は、今起きている香港の抗議運動が一段と中国国内で過激になり、アメリカも国内で激しい戦いになっていくということです。
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