電気自動車(EV)大手「テスラ」は、中国にある上海工場の稼働が始まったと報道されています。これによって、自動車大手「トヨタ」やリチウム電池大手「パナソニック」、「GSユアサ」などは、将来的にテスラの子会社となり電気自動車市場で何とか生き残ることになるということです。
今や、電気自動車の生産高世界トップは中国であって、カルロス・ゴーン前日産会長の逮捕は、フランスの「ルノー」と「シトロエン」、そして「プジョー」の合併を促しています。そして、アメリカの「クライスラー」がイタリアの「フィアット」傘下に入り、「フォード」はドイツの「フォルクスワーゲン」傘下に入りました。
この大きな世界自動車再編劇の一部として、日産自動車とカルロス・ゴーンの事件を見る必要があるわけですが、もう一つの子会社である三菱自動車を三菱グループが守ろうとした動きを見せています。
実は、トヨタ自動車はパナソニックと提携し、「全固体電池」というこれまでの電気自動車にはない全く新しい技術を開発しているようです。そして、全固体電池は3年後の2022年に完成する予定です。
現在の電気自動車は全てリチウム電池ですが、例えば、日産の電気自動車「リーフ」はリチウム電池で航続距離が最大距離400キロまで走ることができます。ところが、そのための充電時間は急速充電であっても30分以上もかかっています。
また、リチウム電池というのは、経年劣化について考慮する必要があり、充電回数を重ねるたびに満タンになる容量が減ることで、満充電の時の航続距離が年々減っていくというわけです。
しかし、それに対して全固体電池は航続距離が東京⇔札幌間の800キロにまで伸び、充電時間が数分で済み、しかも経年劣化しないとされています。
そこからわかることは、2020年まで電気自動車を購入することは得策ではないということです。トヨタは、東京オリンピック後にエンジン部品の関連企業(子会社)を切り捨てる予定があるものと考えられます。
当然、トヨタだけではなく、自動車メーカーは電気自動車への対応の他にも、カーシェアや自動運転、コネクティッドサービスなどの新分野ではIT企業とも競争を強いられています。こうした状況についてトヨタの豊田章男社長は、「勝つか負けるかではなく生きるか死ぬかという瀬戸際の戦い」との認識を示しています。
自動車の誕生からこれまで100年以上、ガソリンエンジンなどの内燃機関が主流の動力源の地位を占めてきましたが、電池とモーターで動く電気自動車が普及すれば旧来型のエンジンやトランスミッション、排気系などの関連部品も必要がなくなり、部品点数も大幅に減るのは明らかです。
愛知県などで巨大なサプライチェーンを率いるトヨタが自らの存続を危ぶむほどの大変革に備え、トヨタのエンジン部品会社は生き残りをかけて新規分野に打って出ているようです。
しかし、資金力や人材に乏しい小規模下請けでは対策を打てない企業も少なく、これまでトヨタ本社に言われたことを言われた通りにこなしてきただけのため、主体的な技術開発や顧客開拓はできないものと思われます。
今、日本国内では何から手を付けたらいいのか途方に暮れている会社が多く、また意外と危機感がない会社もありますが、今からでも事前に行動しなければ手遅れになる可能性が出てきているのは明らかです。
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