米国株式市場=急落、ダウ890ドル安・ナスダック4%安 景気後退懸念で
 (出典:2025年3月11日 Reuters)
トランプ政権が発足してから7週間が経ちましたが、早くもアメリカ経済に影響が出ています。例えば、アメリカの株式市場が下落し始めています。
特に、ニューヨーク・ダウ平均株価は3日連続で下落し、外国為替市場ではアメリカの景気の先行きへの警戒感からドルを売って円を買う動きが進み、円相場は一時、およそ5ヵ月ぶりの円高水準となる1ドル=148円台前半まで値上がりしました。
トランプ関税発動、鉄鋼・アルミに25%の追加関税…適用除外の言質得られず日本も対象
 (出典:2025年3月12日 読売新聞)
カナダとメキシコ、中国には25%の関税を課し、これからEUからの輸入品に対しても25%の関税が適用される見通しとなっています。その結果、アメリカ全体の60%の輸入品に25%も上乗せされることになります。
その一方で、アメリカ国内では政府機関の大幅な予算と人員削減が進んでおり、その浮いた分を全てのアメリカ国民に対して「配当金」という名目、おそらく所得税の減税で還付する計画を検討中とのことです。
また、閉鎖・縮小した政府機関のビルやオフィスを売却したり、不正に蓄財した職員から没収した資産からも配分される可能性があります。トランプを支持するアメリカ人にとっては恵みの雨ですが、反トランプ派にとっては悪夢そのものです。
なぜかと言えば、これまで得ていた臨時収入が途絶え、社会的信用も失くしたのでどこにも雇って貰えなくなるからです。しかし、問題はアメリカ人の約8割が年金の代わりに株式を保有していることです。
トランプ政権によるメキシコやカナダへの25%関税は4月2日まで延長されましたが、日本株も含め、世界中でアメリカの景気後退への懸念から、小売や金融などの個別銘柄を中心に売り注文が増えています。
米2月CPI2.8%上昇、鈍化し予想下回る 関税の影響は盛り込まれず
 (出典:2025年3月13日 Reuters)
3月12日にアメリカ労働省が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年比で2.6%ということで、1月の3.0%からは下落しています。来週、アメリカ連邦準備理事会(FRB)の会合で金利が据え置かれる予想が出ていますが、つまりトランプ大統領による関税の影響はまだ反映されていないということです。
> GDPNow
 (出典:Federal Reserve Bank of Atlanta:FRB アトランタ支部)
しかし、4月以降はトランプ政権の政策がデータ上に反映されてくると思われます。国内総生産(GDP)の成長率の予測について、FRB Atlanta(FRBアトランタ支部)が 「GDPNow」のウエブサイトで公表しています。
アメリカでは、GDPの成長率の公式発表の前に、なぜかアトランタ支部がデータを予測するのが伝統となっていますが、あくまで入手可能な経済データに基づく推定値とされています。そして、世界中の経済学者や大企業の経営者たちが参考にしているわけです。
今回、アトランタ支部が公表したデータでは、アメリカの2025年1月~3月までのGDP成長率は-2.8%であり、その他のエコノミストたちの予測も含めると、明らかにアメリカ経済は悪化していると言えます。
コメ価格が1.8倍!なのに消費者物価はたった3%上昇…政府統計データが“お粗末”なワケ
 (出典:2025年3月13日 Yahooニュース)
それに対して、日本の総務省が発表している消費者物価指数は前年比で3.0%と公表されていますが、米は79%上昇し、電気やガス、飲食、宿泊といったサービス価格も大幅に上昇していることを考えると、実質的に20%は上昇しているように思います。
なぜ政府が公表しているデータと私たちの「肌感覚」に大きな乖離があるのかと言えば、ほぼ毎日買うような食料品の価格が大きく上昇する中で、10年に1回しか買わない電気製品などの価格はあまり上がっていないからです。
この肌感覚のことは「体感物価」と呼ばれていますが、消費者物価指数は多くの品目やサービスの平均値であると説得させられているわけです。いずれにしても、食料品の物価上昇は今後も続くのは間違いありません。
農水省や農協による詐欺まがいの米の買い占めで、備蓄米が放出されても価格は下がらないと思います。また、キャベツや白菜、卵の価格も上がることはあっても下がることはまずないように思います。
それでも、人手不足倒産を恐れる大企業は新卒の初任給を大幅に上げ、氷河期世代を含む40代、50代の給与はますます抑えられていきます。そして、年金生活者は恩恵にあずかることはなく、「ステルス増税」によってますます生活が苦しくなっていきます。
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