アメリカでは、メキシコ国境との壁建設についてトランプ大統領が軍事予算をわざわざこのために引っ張ってきて、「国家非常事態宣言」という裏技を使ったわけです。
それによって、総額80億ドル(約8,900億円)の資金を確保することができたようです。ようやく一段落がついた形にはなりましたが、今年の秋頃には全ての壁が設置される予定です。もはやアメリカ国内には誰も壁建設に反対する者はなく、意味もなく強烈に反対してきた米民主党のトーンも下がりつつあります。
トランプ大統領が米朝首脳会談が開催されたベトナムから帰国した3月1日、事態は急に金融と経済問題に焦点が移ってきました。その理由は、アメリカの住宅価格が下落を始めており、再び連邦政府の債務上限問題があるからです。
その累積連邦債務の上限は、ついに22兆ドル(約2,450兆円)を突破したと報道されています。特例措置で9月までは資金を確保できそうですが、上限を上げなければ米国債の債務不履行(デフォルト)を引き起こしかねません。
つまり、アメリカの財政危機が再び現実味をおびている中、米国債の金利が上昇する動きが出てくるということです。それに連動してニューヨーク・ダウ平均株価も再び下落しています。昨年起きた2月と10月、そして12月の計3回の株価暴落の再来が3月末にも迫っている、と考えられます。
一方、新興国からの資金がアメリカに引き揚げられていることも、世界中で国債暴落や株価暴落が近づいているサインである可能性があります。結局、米中通商交渉は形だけ妥協することになりました。なぜなら、アメリカは中国が大量に保有する米国債を売却されることを恐れているからです。
他方、ロシアは、昨年の時点ですでに米国債を全て売却しており、その巨額の資金で金(ゴールド)をさらに買い増ししています。アメリカによる金価格の上昇を阻止するための方策が、いよいよ通用しなくなりつつあります。
その金地金の価格は、1月末頃から順調に上昇を続け、一時ニューヨーク市場で1オンス1348ドルの高値を付けました。東京市場でも1グラム4,478円の高値を更新しました。これに8%の消費税と手数料500円を足すと、小売り価格では5,176円まで上昇したことになります。
しかし、3月に入り金価格は下落傾向にあり、今後の相場に注目が集まっています。特に、日本人の場合、外国人と比較して情報リテラシーが低いために世界情勢から上手に逃れ、日銀の外に資産を出す必要があると思うわけです。もはや少しでも危険な投資を行う必要性がなくなりつつあるのは明らかです。
例えば、株式市場よりも債券市場の危険性が高まっており、ハイリスク・ハイリターンという危険な投資商品であるハイイールド債やETF(投資信託)などは、今のうちに解約するべきであると私は考えています。
実際に、株から債券という危険な投資商品を買うまでになっている各国政府が、今後、財政危機に陥っていくことを先に用心し、それに備える必要性があるということです。
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