私の両親の世代や私自身が歩いてきた時空の未来が急激に変わっていくのがわかります。私が若い頃、特に大学時代に信じていた思想や思考法は、もはや使えないものになりつつあります。
例えば、北海道大学や小樽商科大学など国公立大学に通う学生は、まだ企業や役所などが採用してくれるかもしれません。しかし、私立大学を卒業したとしても仕事がなく、あっても誰もやりたくない仕事か、社会での行き場を失い、精神病になってこの世を去るというような未来しか浮かんでこないというのが現状です。
今から約20年前、日本では「英語を流暢に話せる」「英検1級」「TOEIC900以上」という条件を満たしているだけでキャリアパスが与えられるような甘い世界観が広がっていました。ところが、現在はそんなキャリアパスなどありません。
Atlasでは、これまで20年の間、100名をを超える日本人社員(語学カウンセラー・英語講師)を採用してきました。その多くは大学を卒業後、英語を生かした仕事がしたいと考え、オーストラリアやアメリカに留学し、英語力を大幅にアップさせて弊社に入社するというパターンがあったわけです。
その後、2011年3月11日に東日本大震災が発生した後も、その多くはしばらくの間も勤務していましたが、家庭の事情や病気、そして最近では進化していくAI(人工知能)による翻訳機能に英会話教育は先がないと感じ、辞職していきました。
今振り返ってみると、ターニングポイントとなったのが311、つまり大震災後であり、それを機に日本の社会構造の急激な劣化が表面化してきたように思うわけです。彼女たちが書いた辞職願を読むたびに、私は一瞬言葉を失くすことがありました。
なぜなら、彼女たちの言い分は間違っていないからです。もはやこれまでのように日本でまともに暮らしていくことはできないということです。彼女たちの多くは少し冷めていますが、その通りだと思います。
そして今、ゲームで遊んだり、塾に通っている子どもたちの約8割の未来が決して明るくないことは誰の目にも明らかであって、それを自分では変えられない、今の大人として責任とれていない自分にうんざりしているはずです。
今後、約8割ほどの日本人は、労働者として必要がなくなる中で、どのように形だけでも仕事に就け、形だけでも給料を与えるかがテーマになってきますが、私だけでなく、全ての国のリーダーや政治家、経済学者までも頭を痛めています。
要するに、2020年以降の資本主義経済では、完全雇用はもはや不可能であるということです。
これまでは、目標を失って自暴自棄になっている若者に英検やTOEICテストを受けさせたり、何らかの資格を取得するようにアドバイスしてきました。そして、それは十分なアドバイスにもなっていたように思います。
ところが、それがもはや通用しなくなる時代を迎えつつあり、私自身でさえ考えつく選択肢としては、「個人事業主」しか残っていないように思うわけです。その中には株や仮想通貨のトレーダー、ネット販売なども含まれるべきです。
それ以外ではあれば、いよいよ生活保護を受けるしかなくなり、それも政府の財政上、いつまで続くかはわかりません。たとえ日本に35万人の外国人労働者が来たところで、結果は同じ破局で終わりそうです。
だからこそ、「情報リテラシー能力」が必要であることは誰の目にも明らかになりつつあるということです。
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