FRB、0.5%利上げにペース鈍化 経済失速・失業率悪化を想定
(出典:2022年12月15日 Reuters)
日本では、大企業が大量リストラが実施していますが、資本主義の総本山であるアメリカでは「FRB(連邦準備制度)」が失業率がこれから大幅に上昇することを公式に発表しています。
具体的に、FRBの公式発表では失業率は現在の3.4%から1年後の2023年末には4.4%に上昇すると予測しています。失業率が1%上昇するということは、約100万人が失業するという計算になります。
しかし、FRBの予測はあまりにも楽観的であり、大手銀行の「シティバンク」のレポートでは失業率が5.25%にまで上昇すると予測しています。つまり、200万人を超える失業者が全米各地に溢れることになるということです。
なぜかと言えば、FRBが政策金利を5%に上げた場合、多くの企業が借金を返済できなくなり、設備投資や投資が減って消費されなくなるからです。人々がモノやサービスを買わなくなれば、2020年のコロナのパンデミック時のように経済が悪化します。
だから、FRBは利上げを停止して利下げに転じる可能性があるわけです。すでに2023年に「景気後退(不況入り)」することは確定していますが、どれほど社会に影響が出るかについては具体的に誰も口にしていません。
米住宅市場指数、12カ月連続低下 見通しは小幅に改善
(出典:2022年12月20日 日本経済新聞)
今年11月は、昨年11月と比較してすでに417%も解雇件数が増えており、アメリカでは大量リストラの第一波が始まっています。同時に、アメリカ国民の資産が10ヵ月の間に14兆ドル(約1700兆円)も減少しており、住宅(不動産)価格が下落していることがわかります。
アメリカでは、住宅ローンの金利が7%台に達しており、不動産バブルで高騰した住宅を誰も買えなくなっています。要するに、FRBが利上げした理由はインフレの抑制ではなく、バブル崩壊を防ぐことであったことが明らかになりました。
住宅メーカーでは、販売促進や解約防止のための営業を行っていますが、住宅の販売量が急激に減少(平均40%)しているだけでなく、契約済み住宅の解約が増えている状態です。住宅メーカーが施工した新築住宅は売れ残っており、極端にディスカウントして売るしかないようです。
米住宅価格に急ブレーキ、2000年代のバブル崩壊に類似との指摘
(出典:2022年10月26日 Yahooニュース)
一方、住宅ローンを返済できなくなる不履行率も急激に上昇し、住宅価格が暴落した2008年のリーマンショック後の水準にまで到達してきました。コロナのパンデミック時にも住宅ローンを返済できない人がいましたが、今回は「サブプライムローン崩壊の再現」となります。
アメリカには、所有する住宅の価値以上の借金を抱えている住宅購入者が40万人も存在しており、実質的にローン破綻者が続出することになりそうです。そのうちの60%(27万人)は、今年に家を購入しています。
今年借り入れた住宅ローンの8%はすでに返済不能と判断されており、さらに20%が危険水域に入っているとのことです。
アメリカの住宅市場指数は、1年前(2021年末)と比較して60%も低下し、この10年間で最低水準を推移しています。住宅が売れなくなるとあらゆる産業の大量リストラが始まり、すでに銀行大手のウェルズ・ファーゴは数百人の住宅ローン担当社員を解雇しています。
1月に固定型住宅ローン引き上げ 三菱UFJと三井住友、他行も追随
(出典:2022年12月27日 Yahooニュース)
一方、日本でも日銀が事実の利上げを発表したことで、金融機関はさらに住宅ローン申請者に「貸し渋り」を行うものと考えられます。コロナ禍の中でも住宅販売は好調でしたが、いよいよ「住宅融資ブーム」は終焉を迎えることになりそうです。
日本の「近未来」であるアメリカが、官民一体で住宅融資を停止したことで、日本でも近いうちに変動金利上昇による住宅ローン破綻者が続出する可能性があります。日銀が0.5%から1%に利上げした時、プロの投資家はハイエナのように住宅や土地を買い漁ってくると思われます。
2023年も積極的に書いていきたいと考えていますが、大地震や台風、大雪などによって停電が発生してコラムをアップできなくなること起こるかもしれません。来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
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