アメリカだけに限定されるものではありませんが、日本を一歩出れば様々な異文化コミュニケーション上の経験から思うのが、当たり前のことなど何もないということです。
通常、日本以外の国では電車が時間通りに来なかったり、宅配が届かなかったり、20年に1回は大規模な暴動が発生したり、無意識でアジア人を見下したりすることがよくあります。このような状況の中、一体どうしたらよいのか分からなくなることもあり得るわけです。
様々な肌の色がそれぞれ生活しており、様々な言語を母国語としている方がおり、特に欧米諸国などではキリスト教だけではなく、イスラム教やヒンドゥー教などの宗教が信仰されており、日本とは何もかもが大きく異なっています。
私自身、当然それは不便であることからも時には理不尽で悔しい思いをしたこともありました。今現在、アメリカや海外で生活されている方もそういう思いを持っているものと思われます。なぜなら、外国人としてそこで生活されているからです。
日本で生活している分には、日常生活で会うほとんどの方が日本人(出自を問わず)の両親から生まれており、日本で育っているわけです。特徴としては、髪が黒く、日本語を母国語としており、礼儀作法や言葉遣いなども当たり前の共通事項として理解されています。
ところが、それが外国で生活を始めた途端に全てひっくり返されることになるということです。もはや、当たり前というものなど目の前から消え去り、日本的な常識など世界では全く通用しないということに気づかされることになります。
つまり、これまで自分が考えていた普通という概念は、全く普遍の価値観ではないということです。そして最も大事なことは、「海外で生活したことが勉強になった」「留学時代は楽しかった」と言い切れるかどうかにかかってくるということです。
このような有意義な時間を持っていること自体、80年近くの人生の中でもそうそうあることではありません。現地では人並みに悩むこともあったとは思いますが、結局は楽しかった思い出の方が何倍も強く心に残っているものです。
英語がわからなくて落ち込んでいた時にも現地の方々に励まされたり、家族の一員として迎えられたり、友達と旅行に行ったりと楽しかった思い出が何より大切なことだと思うわけです。必ずしも輝いていた海外留学・駐在生活ではなかったかもしれませんが、10代、20代の留学というのは青春の一部分であり、30代以上の方にとってはグローバル・キャリアの場です。
例えば、たくさん勉強し、遊び、経験するという最高の日々が留学生活です。留学を勧める方はどこにでもいますが、実際に海外留学・駐在には多くのメリットがあります。ただ、ほとんどの方は留学・駐在中に一回以上は心が折れることがあります。
なぜなら、若い方が本気で何かに向き合えば向き合うほど、その国や社会で自分の無力さや文化の違いに直面し、どうしたらよいのかわからなくなるからです。しかし、それをどうにか乗り越え、結果的に楽しかった思い出にすることが重要です。
留学・駐在経験をすれば誰もが劇的に人生が変わるわけではありませんが、若い頃の海外で経験したことがその後の人生の糧になることは間違いありません。この際、留学を迷っている方がいらしたら是非チャレンジし、せっかくならたくさん楽しむことです。
私の場合、アメリカ国籍を保有しているため、厳密には留学ではなく、移住ということになりますが、アメリカの大学に進学するか、日本で生きていくかで迷った当時18歳の私は、少なくても「アメリカに行ってよかった」と、心から思っています。
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