「イラン司令官殺害、衝撃だ」北朝鮮国内で不安拡散......米メディア報道
(出典:2020年1月10日 Newsweek)
欧米諸国や日本のマスメディアで報道されていることは表向きだけの内容だけで、報道されていない情報があまりに多いのが現状です。北朝鮮の人々の反応が最もわかりやすい例です。
まず、ソレイマニ司令官が殺害された理由についてですが、欧米諸国や日本では、ソレイマニ司令官がイラク国内の米軍基地や関連施設の一斉攻撃を計画していたからだと報道しています。
その可能性は否定できませんが、実は現地のメディアではそれとは異なる情報を報道しているわけです。例えば、1月8日の報道記事にはイラクのマハディ首相は、殺害された3日午前に首都バクダッドでソレイマニ司令官と会談する予定になっていたと伝えています。
イラク議会、米軍の駐留終了を政府に要請-イラン司令官殺害受け
(出典:2020年1月6日 Bloomberg)
マハディ首相によると、イラクはトランプ政権の要請によって、イランとサウジアラビアの緊張緩和に向けた対話を仲介していたと述べています。サウジアラビアからイランにン何らかの働きかけがあり、ソレイマニ司令官はそれに対するイラン政府の返答をマハディ首相に伝えるために、バクダッドを訪問したということです。
ソレイマニ司令官は、イランの代表者として外交的な役割を担っており、イラン政府が発行する外交官用のパスポートでイラクに入国していることが明らかになっています。つまり、自らアメリカがイランとサウジアラビアの緊張緩和を働きかけたにもかかわらず、トランプ大統領はそれを無視し、ソレイマニ司令官を殺害したということになります。
アメリカのポンペオ国務長官は、このことを完全否定したものの、マハディ首相が明かにしたことでそのニュースを聴いたイラン国民の怒りにさらに油を注ぐ結果になっています。
なぜかと言えば、ソレイマニ司令官が外交官用のパスポートでイラクに正式に入国し、イラン政府の文書を携えていたとするなら、ソレイマニ司令官はイラン政府の正式な代表者として活動していたことになるからです。
そうした人物をアメリカが殺害したということは、国家としてのイランに対する最大限の屈辱であることになります。こうした情報が事実であるなら、これは欧米諸国や日本の報道を信用することがもはやできなくなります。
欧米諸国や日本の報道では、ソレイマニ司令官の殺害は、トランプ大統領が側近や国防総省の強い反対を押し切って、独断で決定したとされています。つまり、経緯をまったく知らないトランプ大統領の気まぐれで決定されたということです。
過去20年を振り返ってみても、ブッシュとオバマ政権もソレイマニ司令官を殺害する計画がありました。しかし、ソレイマニ司令官殺害が引き起こす報復の連鎖から中東諸国が大戦争に発展することを恐れ、殺害が断念されたことがわかります。
特に、オバマ政権の時代には、ソレイマニ司令官の指揮下にあるシーア派系武装民兵組織などは、イラクからIS(イスラム国)を掃討する作戦で大きな力を発揮し、アメリカを中心とした有志連合とは協力する関係にありました。
つまり、ソレイマニ司令官はアメリカの本当の敵であるわけではなく、ソレイマニ司令官がこれまで殺害されなかった理由の一つであったことは明らかです。しかし、気まぐれなトランプ大統領はこうした背景を無視し、殺害の影響を考慮することなく実行しています。要するに、今回の殺害は、トランプ大統領が周囲の反対を押し切って実行した気まぐれであったということです。
ところが、昨年12月9日にアメリカとイランの軍事衝突が近いとする非公開情報がありました。イギリスの元外交官で、中東専門の調査ジャーナリストとして活躍している人物が記事をアップしています。
A Precision Strike on US Credibility ? Shattering a US Paradigm(アメリカ・パラダイムを粉々にするアメリカの信頼性に関する精密攻撃)2019年9月23日
(出典:2019年9月23日 Strategic culture)
それによると、昨年11月末にアメリカ防総省の高官がイスラエルを訪れ、「アメリカ・イスラエル安全保障条約」がある条件を加えることで、安全保障条約の締結が合意されたと言われています。
その条件とは、安全保障条約の適用範囲をイランに限定するというもので、イスラエルかアメリカのどちらかがイランの攻撃を受けた場合、どちらかがイランへ攻撃して対処するという内容です。
米イスラエル首脳、相互防衛条約を協議
(出典:2019年9月15日 日本経済新聞)
「アメリカ・イスラエル安全保障条約」の締結に向けて動き出したことは、ロイターなど欧米のマスメディアの報道でも確認できます。そして、昨年12月4日にアメリカのポンペオ国務長官はポルトガルのリスボンでネタニヤフ首相と会談を行い、「アメリカ・イスラエル安全保障条約」の締結を目指することで合意したと報じられています。
記事では、ネタニヤフ首相の側近の一人が、「イランを攻撃する絶好の機会となる」と発言したことを紹介しており、半年以内にイランとの戦争が始まる可能性が非常に高いとして、注意を喚起したようです。
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