中東危機、陰の主役はイスラエル イランの核武装をイスラエルは絶対に許さない
(出典:2020年1月9日 JB Press)
中東情勢は、毎日のように大きく変化しています。読み切れないほどの情報が英語、日本語、アラビア語などで入ってきています。
しかし、私は今回の大量な公開情報の中に書いていないテーマが気になります。そのテーマとは、「アメリカとイスラエルがなぜイランを敵視してきたか」ということです。
長い間、欧米諸国やイスラエルは、「イランは核兵器を開発している」と国際社会に訴えてきましたが、実はイランは原子力の平和利用(医療用アイソトープの製造)をしているだけで、核兵器を開発していないことは明らかです。
つまり、イランの核兵器開発はアメリカ(軍産複合体)とイスラエルが捏造している濡れ衣であるわけです。1979年以来、アメリカとイスラエルはイランを不必要に敵視し続けています。イラン敵視に関してアメリカとイスラエル国内ではそれぞれ異なる勢力が存在してきました。
今も昔もアメリカとイスラエルには、イランとの対立を画策する勢力と、敵対を解こうとする勢力がおり、水面下でお互いに牽制し合っています。例えば、トランプ大統領は北朝鮮に対して試みたように、イランとの対立構造も壊そうとしています。
一方、イスラエルという国は、もともと中東戦争による領土拡張の後に、中東諸国側と和解して事態を安定させようとした「労働党」が強かったのですが、1970年代以降にその製作を妨害するためにユダヤ系アメリカ人活動家が大挙して移住(帰国)してきました。
イスラエル、1948年の建国からユダヤ人330万人が移住
(出典:2019年12月17日 TRT 日本語版)
そして、西岸やパレスチナのガザ地区に入植地を作り、入植運動を広げつつ「リクード党」の主軸となってイスラエル政府を牛耳り、パレスチナ人との対立構造を作り上げたわけです。与党リクード党の戦略は、イスラエルとイランを相互に破滅しない程度に対立させ続けることです。
対立が続く限り、近隣の中東諸国やイランとの和平は進まず、和平を推進してイスラエルを安定させようとする労働党は有権者から非現実的と思われて支持を得られず、万年野党となっています。
労働党のように「中東の安定」を考える政党がある一方、ネタニヤフ首相が率いるリクード党のような「平和は敵で戦争で儲ける」政党がイスラエルを支配していることを考えると、パレスチナ問題のはイスラエルではなくアメリカ(軍産複合体)の仕業であると言えそうです。
平和は敵。テロ戦争で儲ける「軍産複合体」の正体
(出典:2015年11月27日 MAG2ニュース)
つまり、アメリカ国内にはイスラエルと中東諸国の対立を望む勢力がいるということです。この勢力が、テロ集団「アルカイダ」や「IS」を育てつつ2001年9月11日のアメリカ当時多発テロ事件(911)を計画的に引き起こし、イスラム世界と対立するテロ戦争の構造を作ったと考えられます。
彼らは、諜報機関モサドやCIAに自由に指示できる勢力でもあり、軍産複合体の一部でもあり、そして主要なマスメディアであるCNNやニューヨークタイムズの実質的なオーナーであり、しかもアメリカ政府に影響を与えるシンクタンク(CFR)などにも所属しています。
彼らのことを「アメリカ戦争屋」と呼ぶ人もいますが、もともとアメリカ政府に強い影響力を持っていた彼らは、イスラエルに移住して政府を支配した上で、今度はイスラエル政府がアメリカ政府を支配して中東の対立構造に引きずり込むという「入れ子構造(フラクタル)」を作っています。
このように、どちらがどちらを支配しているか全く見分けられない相互乗り入れの構造というのは、米英同盟なども同様で、映画「007」でお馴染みのイギリスの諜報機関MI6の動きをなど覇権国ではよく見られることでもあります。
要するに、ただ単に軍事産業を儲けさせるために中東諸国や北朝鮮と対立しているわけではなく、世界覇権体制やユダヤ系と華僑系ネットワークの主導権争いといった大規模なマネーの動きであるということです。
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