今回のテーマは、トランプ大統領が所属する共和党が中間議会選挙で勝利する可能性についてです。
性懲りもなく、今回の選挙戦でも2年前と同じようにアメリカ民主党の勝利を世界中のマスメディアが報道しています。
くだらない38年前にセクハラ疑惑のあったとされるカバナー氏の最高裁判事への指名の他、未だに続いているモラー特別検察官によるロシア共謀疑惑の調査、それに加えてトランプ大統領が父親から譲り受けた約500億ドルの脱税疑惑など、トランプ大統領と共和党のスキャンダルには事欠きません。
これらのスキャンダルは、全てトランプ大統領の信頼性を大きく傷つけるものであるため、トランプ政権時にどれほど経済が好調であっても、それを打ち消すだけのマイナスの効果は大きいと見られています。
トランプ大統領がどれほど実績をつくろうと、もはや大統領としての品格や人格を持っていないと考えるアメリカ人は多く存在しています。そのため、民主党の勝利となり、ホワイトハウスと民主党が上院・下院それぞれ過半数を持つねじれ議会になるというわけです。
実際に、このような予測を証明するかのように中間議会選挙が近づくにしたがって、全米のほとんど州でトランプ大統領と共和党の支持率は低下しつつあるとテレビや新聞などで具体的な数字によって報道されています。
トランプ大統領は今現在の支持率で、直近の世論調査では40%程度と報じられています。政権発足から1年くらいは30%強の支持率がありましたが、最近では40%から45%程度の支持率に落ち着いています。
ところが、支持率の推移を州ごとに細かく見てみると、トランプ大統領の支持基盤である中東部のラストベルトも含め、どの州でも支持率は下がる傾向にあります。これを見ると、マスメディアの予想の通り、民主党の勝利を予感させる流れとなっているわけです。
このような状況の中、中間議会選挙の民主党の勝利は確実であり、トランプ政権の一層の混乱はもはや避けられないという印象をアメリカ人は持たざるを得ないわけです。しかし、さらに調べてみると、全くそうではない状況が見えてきます。
要するに、2016年11月に実施されたアメリカ大統領選挙の時と全く同じような状況になりつつあるということです。
ちょうど2年前、民主党のヒラリー・クリントンと共和党のドナルド・トランプが争った大統領選挙直前の世論調査では、クリントンが48%、トランプは44%の支持率と報道されていました。
さらに、大統領選挙では270名の選挙人を獲得する必要がありますが、選挙の6日前に実施された全国調査では、クリントンが必要な270名を獲得する確立は89%でした。ほぼこれで、クリントンの勝利は決まったものと思われていました。
このような状況であったことから、マスメディアのほぼ全てがクリントンの勝利を確信し、新聞やテレビでもそのような予想に溢れていました。そして、ほぼ全てのマスメディアはこの予測を完全に外したわけです。その後のマスメディアの狼狽ぶりは目に余るものであったことは明らかです。
結局、ほぼ2年前に起きた事とと同じことが今回の中間議会選挙で起こる可能性があります。マスメディアがトランプの勝利を予想できなかったのは、アメリカ企業のグローバリゼーションの波に乗れず、貧困化した労働者の怒りの激しさを十分に読み切れなかったことだと分析されています。
アメリカ企業の多くが製造業の生産拠点を海外に移転したため、特に中東部の州を中心に膨大な数の労働者が失業しました。こうした人々は、保護貿易主義による国内産業の保護と復活を主張するドナルド・トランプを熱烈に支持しましたが、この熱情を十分に把握できなかったことで、マスメディアは予想を外した、とこれまでは考えられていました。
一般的に、中間議会選挙の投票率は低く、州平均でも35%程度となっています。アメリカでは大統領選挙がメインイベントということからも、中間議会選挙の関心が低さがむしろ注目されているようです。
というわけで、中間議会選挙でのトランプ大統領と共和党の勝敗を決定するのは、熱心なトランプ支持者の投票率に依存するところが大きく、彼らが確実に投票に行くことになれば勝利の可能性は高くなると言えそうです。
さらに、こうした全米に無数に存在する熱心なトランプ支持者集団が、積極的な草の根の選挙運動を展開するようになると、トランプ大統領と共和党への投票数はさらに大きく増大する可能性もあります。
トランプ陣営のこのような選挙キャンペーンの実態とネットメディアを中心に結束している熱心なトランプ支持者の動きは、世論調査を中心としたマスメディアの分析と予測では図ることはできません。おそらく、2年前の大統領選挙でも同じような動きになるものと考えられます。
そして、11月6日までの選挙戦でトランプの熱心な支持者は活発に動き、最終的に情勢が逆転することでトランプ大統領と共和党の勝利に終わると思われます。当然、下院では少し議席は減らす可能性がありますが、共和党は過半数を維持すると思います。
トランプ政権はこのように追い詰められた状況にいることで、今後はアメリカ国民の支持を得るための対外的な強行策に出る可能性も指摘されています。アメリカは戦争を始めると大統領の支持率が急上昇する国ということからも、北朝鮮やイランについても積極的に展開していくということです。
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