2020年のアメリカ大統領選挙でトランプ大統領の再選を確信する論調は、一昨年までトランプ政権の元主席戦略官であったスティーブ・バノンだけではなく、ネットを中心に拡大しているメディアも共鳴しているようです。
トランプ陣営というのは、基本的にネットメディアに依存した選挙キャンペーンを展開しており、こうした草の根メディアはアメリカ民主党やFacebook、YouTube(グーグル)からの弾圧にもかかわらす、これまでしぶとく生き残ってきました。
そして、最近は他のメディアと一丸となって、これらの巨大SNS企業に強く抗議することで、アカウントを復活させ、準備が進む弾劾裁判や捜査結果の公表という窮地からトランプ個人を救うべく、すでに「トランプを救え!キャンペーン」がスタートしています。
ところで、トランプ陣営の最大の支援になっているのが「Qアノン」というネット上だけの匿名な存在です。Qアノンについては日本のマスメディアでも報道されたので知っている方も多いと思いますが、念のために簡単に説明しておきます。
Qアノンとは、2017年秋頃から日本の2ちゃんねるのようなアメリカの掲示板への書き込みから始まった匿名の人物のメッセージのことです。この人物は、アメリカ連邦政府による国家機密へのアクセス権限、Qクリアランスを持っていると主張したことから、Qとアノニマス(匿名)を組み合わせ、「Qアノン」と呼ばれるようになりました。
①Newsweekアーカイブ『Qアノン』に関する記事一覧
②Qアノンが投稿している掲示板
Qアノンは、4chanが「悪い役者たち」によって侵害されたという理由で、8chanに活動の場を移しました。
最初は、意味のない愉快犯の書き込みだと見られてましたが、関係者しか知りようのない情報が次々とリークされ、それが後に正しかったことが明らかになると、徐々に信憑性が高くなり、世界中に拡散しました。
Qアノンの正体については未だに謎ではありますが、トランプ政権を支えるアメリカの諜報機関である国家安全保障局(NSA)所属の局員であるという見解があります。また、スティーブ・バノンが仕掛けているトランプ支持層に働きかける巧妙なキャンペーンであるとする見方もあります。
今のところ、NSAやスティーブ・バノンが仕掛けているのかどうかははっきりしていませんが、どちらにしてもトランプ政権の支持を固めるキャンペーンであることは間違いありません。
Qアノンのメッセージの特徴は、いつも質問形式で書き込まれており、読者にリサーチすることを要求します。その質問に応えようと多くの人々が検索していますが、結局、驚くような情報に行き着くことで、Qアノンのメッセージの真実性が確認されているというわけです。
今、アメリカ人だけではなく、世界中の人々YouTbeなどの動画でその結果を発表しており、Qアノンが投稿した質問に答えようと検索することが楽しくなるようになり、その世界観がより緻密に設計されていることがわかります。
こうした「Qアノン」だが、その投稿から明らかになる世界観はディープな陰謀論のようです。日本について関係のある北朝鮮について簡単にまとめると、
「北朝鮮はCIAが作ったアメリカの傀儡国家で、北朝鮮を支配する本部は北部にある香山ホテルにある。金正恩はCIAの傀儡で、トランプによってCIAのこの部局は壊滅させられた。この結果、北朝鮮はCIAの支配から自由になり、米朝首脳会談ができるようになった。」
いずれにしても、Qアノンの投稿内容は膨大で、投稿した質問に促され検索し始めると、その世界観にのめり込み、その信者になってしまう仕掛けがあるように思います。今、ネット上ではQアノン支持者の集団で溢れており、トランプの支持者集会にはQのロゴのTシャツやプラカードを掲げた人々でごった返すようになっています。
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