|
ロシアの原油減産拒否の標的は米シェール業界
(出典：2020年3月9日 Newsweek）
サウジアラビアなどOPEC加盟国やロシアの堅い決意が見られたわけですが、原油が1バレル30ドル以下ではアメリカのシェールガス/オイルのベンチャー・キャピタルが次々と倒産していくのは明らかです。
原油やガスの価格が大幅に安くなることで、掘削している企業たちは抽出するための資金繰りができなくなり、廃業していきます。このことは、ニューヨークの不動産屋であるトランプ大統領にもかなりの精神的ダメージを負わせることになりそうです。
トランプ大統領は、ニューヨークを中心に高層ビルを建設するディベロッパーとして成功した経験を持っています。シェールガス/オイル関連企業と全く同じ、ファンドや社債を集めた高金利のハイイールド債、つまり格付けが低いジャンク債から資金を借りながらトップに上り詰めたわけです。
トランプ大統領は、若い頃の自分と同類のベンチャー・キャビタリストたちが、ジャンク債市場で全財産を溶かしていくのを黙って見るしかありません。今後、年率の金利が15％以上というトリプルB以下の低格付け債券市場は、20％、そして50％と金利が高くなるものと思われます。
What is causing such fear in the US Treasuries market?
(出典：The Financial Times ）
現在、リスクオフということで、世界中の投資家が株式市場から安全資産であるアメリカ国債に逃げたことで、アメリカ国債の10年もの（長期）の金利が0.5％にまで下落しています。ただし、ジャンク債の利回りが上昇することでやがてアメリカ国債も暴落することになりそうです。
2008年のリーマンサットショック（世界金融危機）と同じように、アメリカの財政危機から金融危機に発展し、最終的には米ドルがハイパーインフレが起こし、1930年代のような世界大恐慌になるということです。
一方、為替相場は一時1ドル101円台まで円高が進みましたが、それから105円台まで戻しています。この急激な円高ドル安は、来週頃から取引が少なくなって110円台を目指して円安に戻していくように思われます。
なぜかと言えば、1ドル100円を割れることは先進国（アメリカ・EU・日本）による為替条項に違反することになるからです。他方、金価格（ゴールド）は株価が下落しても上昇が続いていましたが、仮想通貨と同時に暴落しました。
Bitcoin And Bullion Blasted As Traders Sell Everything
(出典：2020年3月12日 ZeroHedge）
あらゆる商品は、全て総売り、投げ売り状態となっており、米ドルによる資金繰りができなくなっている中、世界中がパニックになっています。日本円で1グラム6300円台まで金価格ですが、この後は中国人による投げ売りと、株価を上げるためにアメリカ政府が金価格を操作していきます。
金価格は、「金ETF（ペーパー・ゴールド）」という先物市場で、ゴールドマンサックスやJPモルガンなどの巨大投資銀行が大量に買い付けることで、1グラム5000円程度まで、一旦、暴落させるものと思われます。
問題は、金ETFを保有してきた投資家たちが、現物の金地金（インゴッド）に交換するように要求する数が増えつつあることです。ところが、アメリカ政府や銀行には現物のインゴッドなど金庫にないわけです。
実際に、アメリカの各銀行や証券会社などでは高値の今こそ強制的に決済するようにし、現金で受け取るよう必死に説得していると聞きます。そして、次は日本でも同じようなことが起こるということです。
私がいつも思うことは、テレビや新聞に登場する「金融アナリスト」や「経営コンサルタント」という肩書を持っている人たちは、本当に経済や金融のことを知っているのか疑わしいことです。彼らの多くは、専門用語だけを使って、簡単なことをわざと難しく語っているだけです。
彼らのほとんどが日本で生まれ、日本で育ち、大学を出て銀行や証券会社に就職しただけのことです。ただのサラリーマンでしかない彼らは 風見鶏のように資金力のある勢力が政権に右往左往しているだけの「人間（人と人の間）」でしかないのは明らかです。
本来、彼らのような人間の特徴は、安倍政権に忖度するしかない体制派であり、投資家を騙すだけの金融業界に甘えて生きてきたわけで、私は彼らがふんぞり返って偉そうに何か話しているのを見るだけでも虫唾が走るわけです。
| 
2020年3月17日
