アメリカ経済学会の年次総会では、2013年のノーベル経済学賞受賞者であるイェール大学のロバート・シラー教授が、2019年にも新たな不況が始まると発言しています。その理由として、市場の心理が劇的に変化していることに注目すべきだとしています。
正しく歴史を振り返ってみると、この市場心理の突然の変化というのは、世界大恐慌の引き金になった1929年10月24日から起き始めたウォール街大暴落、つまり、「ブラックサーズデー」、続いて「ブラックフライデー」、「ブラックマンデー」そして「ブラックチューズデー」がありました。
要するに、2008年9月よりも現在の方が1929年10月に向かう状況と似ているのではないかということです。1920年代のアメリカ経済も2010年代と同様に経済成長を続けており、大暴落が発生した1929年9月までは経済のファンダメンタルズはかなり好調であったと語っています。
結果的に、経済指標の動向からは株式市場の大暴落を予想することは不可能であったわけで、きっかけもなしに市場心理はある日突然と反転し、株の一斉の売り浴びせから相場の暴落を招いたということです。
シラー教授は、市場の感情反応を見ると1929年の心理状態に次第に近づいていると感じており、株式市場は暴落と新たな不況の発生に現実味を感じており、その不安感が実際に相場の暴落を引き起こすと考えているようです。
こうしたシラー教授による警告について考えてみると、新たな不況があるとすれば、それは経済のファンダメンタルズの悪化が原因ではなく、1929年のような市場心理の反転による相場の大暴落が引き金になるということです。
そして、その後は金融システムが打撃を受けるため、新しい支払い手段を形成する必要性が出てくるものと考えられます。その時、日・欧・米の中央銀行によっていよいよブロックチェーンが採用され、法定仮想(暗号)通貨が登場するということです。
1929年に始まった世界大恐慌の時、アメリカではフランクリン・ルーズベルト大統領は大量のドル紙幣を各銀行にトラックで輸送したことで金融システムの崩壊をくい止めましたが、今度は法定仮想(暗号)通貨が金融システムを支える役割を果たすことになるかもしれません。
これに対して、日本では地銀60行が参加する形でみずほ銀行がデジタル通貨の流通を3月に開始すると公表されています。みずほ銀行のATM休止は毎月のように行われていましたが、入出金や口座管理などを担う勘定系システムを統合した仮想(暗号)通貨システムへの移行作業であると思われます。
しかし、ここで大きな問題になるのはハッキングなどのサイバー攻撃です。現在はアメリカや中国、ロシアが実質的なサイバー戦争に突入していますが、法定仮想(暗号)通貨の導入が進むとなると、サイバー攻撃を仕掛けられて預金が奪われる可能性は高くなると考えられます。
日本でも、慶応大学の湘南キャンパスにあるといわれている日本のインターネット中枢サーバー3本全てを切ってしまうことで、突然インターネットがシャットダウンされ、日本は国富を全てを失うことになるという話もリークされています。
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