2019年4月8日、トランプ大統領はイランの革命防衛隊(IRGC) を国際テロ組織に指定しました。アメリカが諸外国の軍隊をテロ組織に指定したのは初めてのことです。
イランには国軍と革命防衛隊という2つの軍隊がありますが、革命防衛隊とはハッサン・ロウハニ大統領の近衛兵、つまり金庫番のような組織です。この組織をテロ組織に認定したことで全て関連するテロ組織への資金提供や武器供与に関わった組織が制裁対象となります。
この資金枯渇計画の最大のものが、イラン産原油輸入禁止措置であって、中国や韓国、インドなどに大きな影響を与えています。日本はすでに猶予期間にイラン産原油を1%以下にしています。
最も慌てているのが中国と韓国で、中国と韓国には中央銀行があり、資金決済は世界に筒抜けであることから裏取引ができなくなりつつあります。唯一可能なのは、現物の金(ゴールド)による取引のみであるということです。
中国による人民元建て取引の可能性もありますが、イランが不安定な「人民元」を認めていません。イランからは現物の金(ゴールド)での支払いを要求するものと思われます。
しかし、イランとの裏取引が発覚することになれば、アメリカとの貿易が全て停止されることになり、そのようなリスクを考えると結局、中国や韓国もアメリカの指示に従う他ないように思います。
これまでの歴代大統領とは全く異なり、トランプ大統領には脅しや駆け引きが通用しないというのが現状です。オバマ政権までのアメリカであれば、フランスやドイツなどと一緒に反発することはできましたが、トランプ大統領には全く効かないようです。
そのような状況の中、トランプ大統領は空母エイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃隊とB52戦闘機部隊を中東に派遣すると発表しました。派遣の理由については、「アメリカや同盟国の国益に対するいなかる攻撃にも容赦ない力で対抗するという、明白なメッセージをイランに送るため」とイランをけん制することが狙いとなっています。
また、「米国や同盟国の権益を攻撃すれば容赦なく実力を行使するという明確なメッセージをイランに送り、革命防衛隊のものであれイラン軍のものであれ、いかなる攻撃にも対処する万全の準備を整えている」とも強調しています。
トランプ政権は、4月にイランの革命防衛隊をテロ組織に指定し、5月にはイラン産の原油の全面的な禁輸とそのための制裁を強化するなど、イランに対する圧力を一段と強めています。
それによって、これまでイランと裏取引を行ってきた韓国の業者は口座凍結という制裁を受けています。今回のイラン産原油輸入禁止令によって、最も慌てているのが中国と韓国であるとされています。
特に韓国の場合、日本海で北朝鮮に瀬取りという方法で石油を横流ししていましたが、5月に入り一段と監視が厳しくなっており、瀬取りなどの隠れた輸送は摘発されるようになりました。しかも、昨年末のレーダー照射事件のように日本との軍事的衝突の発生率は限りなく高くなりつつあります。
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一方、イランは原油取引停止制裁に対しては米ドルを支払方法として使う必要がなく、各国の通貨での取引や仮想通貨、金(ゴールド)取引、そして物々交換なども抜け道として考えているように思います。
しかし、アメリカの空母艦隊や欧州諸国の監視も強化されており、このままではイラン経済はどん底まで落ちていくしかありません。もはや、韓国は北朝鮮に石油の横流しをする余裕はなくなり、やがてイランと北朝鮮に対して経済的に孤立させることが今回の目的です。
こうしたアメリカの動きに対して、イランは反発を強めており、ペルシャ湾内のホルムズ海峡を封鎖することも辞さない構えを示しています。2001年9月11日に起きた「アメリカ同時テロ事件」と同じく、今回もアメリカはイランの暴発を待っており、国際世論を味方につけた報復軍事攻撃が許されることを期待しているなかで、安部首相がイランを訪問している最中の6月13日に日本のタンカーへの攻撃が起こったことは偶然ではありません。
イランや北朝鮮の立場から考えてみると、これ以上の経済的圧力を受けるともう耐えられないため、アメリカに降参するか、あるいは暴発するという2択しかないように思います。今、世界は限りなく第3次世界大戦へと引き込まれているように思います。
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