トランプ氏弾劾裁判めど立たず 与野党対立が先鋭化
(出典:2019年12月29日 産経新聞)
今回は、「トランプ大統領」の強力な支持基盤である「キリスト教会福音派」に起こっていることと、北朝鮮との関係についてです。
12月中旬、アメリカ下院議会の本会議で、トランプ大統領を「権力乱用」と「議会妨害」で弾劾する決議案を賛成多数で可決されました。弾劾訴追されたアメリカ大統領としては、これまで「アンドリュー・ジョンソン大統領」、「ビル・クリントン大統領」に続き史上3人目となります。
これに対して、上院議会は可決された弾劾条項についてトランプ大統領を有罪として罷免すべきかどうかを審理するために、2020年1月に弾劾裁判を開く予定で、上院の出席議員の3分の2の賛成で罷免は成立することになります。
ただし、現在の上院議員は総議席数100のうち、共和党が53議席で民主党が45議席であることから、トランプ大統領が所属する共和党が過半数の議席があるため、8名以上の造反議員が出ない限り、トランプ大統領が無罪となることは確実視されています。
野党であるアメリカ民主党は、罷免の可能性は低いと認識していますが、弾劾裁判でトランプ大統領のマイナスイメージを残して2020年11月の大統領選挙を有利に進めたいとの思惑があるようです。
ちなみに、トランプ大統領の主な支持層について挙げておきたいと思いますが、一つは中東部のラストベルト(脱工業化が進んだ地域)、もう一つは中西部から中東部の農業地域、そして全米に広がる白人至上主義の集団や、「Qアノン」の革命運動の支持層です。
さらに、南東部一帯を中心とした「キリスト教会福音派」での支持層は、トランプ大統領へ支持が常に50%前後と一定に保たれており、トランプ政権の重要な支持基盤になっています。アメリカ民主党は、どれだけトランプ大統領を攻撃したところで、このような支持層を崩すことはできないと思われます。
特に、最も支持人数が多いのが「福音派」です。「福音派」に所属する有権者は、全米で約1億人とされており、牧師や信者がトランプ大統領を強力に支持しているのがわかります。
トランプ大統領と共和党を支持する理由としては、「福音派」が推進している堕胎禁止の動きをトランプ大統領が後押ししていることと、旧約・新約聖書が誕生した国であるイスラエルを支持し、勢力拡大を支援していることが挙げられます。
さて、堕胎禁止については理解できるとしても、イスラエルを支持することについて日本人の多くは理解しにくいものと思われます。要するに、「福音派」の教えの特徴としてハルマゲドン(最終戦争)の後に天からイエス・キリストが降臨し、千年王国が実現するという聖書の「ヨハネの黙示録」の信者であるということです。
この新約聖書ヨハネの黙示録に書かれていることは、人類の救世主であるキリスト降臨の重要な条件としては、イスラエルが勢力を拡大して中東の地域大国となることです。
聖書に書かれてあることを信じる福音派の人々は、アメリカがイスラエルを全面的に支援することで、キリスト降臨の条件が揃うと本当に信じています。こうした観点から考えると、イスラエルの支援を明確にしているトランプ大統領だからこそ、支持しなければならない大統領というわけです。
ちなみに、私はアメリカの大学に通っている時に、アメリカでは一般的なキリスト教会であるバプテスト教会(福音派)で洗礼を受けたことがあります。当然、その教義としては聖書を真っ直ぐに解釈するというものであったことを思い出しました。
ところが、予想外の出来事として「キリスト教福音派」が発行する新聞社「クリスチャニティー・トゥディ」は、12月中旬に社説を寄稿しています。
Christianity Today, Top Evangelical Publication, Argues Trump Should Be 'Removed From Office'
(出典:2019年12月20日 TIME)
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