「なぜアメリカ相手に戦争?」ペリー来航から“88年の怨念”が導いた太平洋戦争の末路とは
(出典:2019年11月10日文春オンライン)
帝国主義で軍事国家のアメリカは、新年早々イランにドローン攻撃を仕掛けました。とはいえ、実は戦前の日本も帝国主義で軍事国家であったわけです。
明治時代の日本は、防衛国家として軍隊を持ちましたが、昭和時代になってからは侵略のための軍隊に変質してしまいました。敗戦後、GHQに尋問された石原莞爾・陸軍中将は、「日本が軍事国家化したのはペリーの砲艦外交があったからだ」と答えたと言われています。
そのアメリカという国は、1776年の建国当初から軍事国家であるため、基本的には「殺し尽くして奪う」というのが国是となっています。つまり、先住民を殺し、農地や資源を奪うのが前提で成立した国であるということです。
アメリカの論理を一言で表現すると、「軍事力で取った土地は誰にも与えない」です。かなり幼稚ですが、イランに戦争を仕掛ける手口などは「世界殺し合いトーナメント」の主催者であり、世界覇権国であるからできるのかもしれません。
第二次世界大戦では、日本とドイツに勝利した後、強力な核兵器を開発して事実上、トーナメントのチャンピオンになりましたが、10年に1度のペースでベトナム戦争、そして湾岸戦争やイラク戦争など一方的に諸外国を攻撃してきました。
歴史上、稀有な人格の持ち主であるアメリカのトランプ大統領であっても、いよいよ本当に戦争を仕掛けなければならない事態に追い込まれているように思います。これまでは、「戦争やるやる詐欺」であったわけですが、11月のアメリカ大統領選挙に勝利するためにも積極的になる必要があるようです。
トランプ氏「戦争を避けるため」イラン司令官殺害
(出典:2020年1月4日TBSニュース)
できることなら、「戦争やるやる詐欺」で上手くごまかすことができるかどうかです。報道記事を読んでも、中国とロシアの反応が変に冷静であることを考えると、習近平主席やプーチン大統領は事前にOKを出していた可能性があります。
実際に、齢96歳の世界戦略家であるキッシンジャー博士は、老体に鞭打って直前に中国とロシアを訪問をしていました。根回しがかなり効いたとあって、満を持してアメリカはイランとの開戦に踏み切ったということです。
ドローン爆撃によって原油価格が上昇し、倒産寸前のアメリカのシェールオイル/ガス関連企業はしばらく生き残ることができると思われます。実は、昨年まではシェールオイル/ガスは「第二のサブプライム・ローン」と言われてきました。
トランプ大統領は、アメリカ大統領選挙が終わる11月まではダウ平均株価と原油価格を現在の水準に維持しなければならない上に、軍事覇権のためにイランや中国、そして北朝鮮を敵視することをやめられません。
サウジ、イラン、トルコ……蠢き出した地域の大国 トランプ外交で変動する中東の力学
(出典:2020年1月4日Yahooニュース)
ローマ帝国やモンゴル帝国など歴史上の帝国を考えてみても、戦争で大敗しないまま世界中に駐屯する米軍基地を撤退させることは至難の業です。また、軍人を失業者にしてしまうと必ず反乱を起こされるケースもあります。
日本でも、徳川家康は「大阪夏の陣/冬の陣」で失業した武将を御家取り潰しとして浪人にさせることに成功しましたが、それでも「大塩平八郎の乱」や「島原の乱」が起きています。
ちなみに、11世紀に九州地方に攻めてきた蒙古襲来がありましたが、モンゴル軍が中国(南宋)の敗残兵を日本に捨てにきたのが「元寇」の本当の目的であると言われています。これもわざと戦争で負けて撤退させようとしたわけです。
現代では、ベトナム戦争時に中国の鄧小平(トウ・ショウヘイ)主席は、ベトナムを侵略しましたが、わざと戦争に負けるために傲慢な人民解放軍の一部軍人を中国へ送還しています。
戦時中、昭和天皇や時の政権ではこのような「撤退戦」ができなかったわけで、最終的には太平洋戦争で広島と長崎に原爆を落とされて大敗し、大日本帝国が滅びました。さて、名将トランプ大統領はどのように撤退するのでしょうか?
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