<視点>経団連会長への批判 炎上で憂さを晴らしても 編集委員・久原穏
(出典:2023年11月21日 東京新聞)
大企業のテレビCMやネット広告で購買意欲を刺激され、借金(クレジットカードやローン)してまで無駄な商品やサービスを購入する人は、明らかに精神的な病気にかかっています。
なぜかと言えば、物欲をコントロールできず、様々な形でカネを前借りするという欠乏病だからです。そもそも、罠を仕掛けているのは企業側であるため、その商品やサービスを提供している企業の悪い評判や口コミをネットで検索する必要があります。
企業や経営者への誹謗中傷は、2ちゃんねるなどの掲示板に溢れていますが、最近は誰も噂レベルの話を信じなくなりました。日本人も、情報リテラシーが身に付き始めたと言ってもいいと思いますが、大事なことはその企業の理念に共感できる能力です。
自民に毎年24億円献金「何が問題なのか」と経団連・十倉雅和会長 「社会貢献の1つ」
(出典:2023年12月4日 東京新聞)
「便利だから…」「安いから…」だけでは、お金がいくらあっても足りません。決して物欲を満たすことを目的にするのではなく、自身のライフスタイルに合ったモノを選ぶことが必要です。それでも、「悪党」である経団連加盟企業(大企業)が提供するモノを買いたいと思いますか?
日々、真面目に働いているはずのサラリーマンの多くは、自由に使えるカネ(可処分所得)が少ないことに悩んでいます。しかし、自分が何に消費しているかを考えたことがほとんどありません。つまり、気がつけばカネがない状態にあるということです。
だから、年収200万円の人でも年収1000万円の人でも同じ悩みを抱えているわけです。そうなると収入額のの問題ではなく、企業の宣伝広告や営業マン、周囲の人たちに洗脳されているか、されていないかの話です。
「年収1000万円の人」と「年収400万円の人」は何が違うのか…お金に悩む人に精神科医が勧めるたった一つの習慣 選択肢を増やさなければ、今の自分は変えられない
(出典:2023年9月3日 PRESIDENT Online)
収入が多いほど税金も多く取られる社会制度では、いつまで経っても経済的な豊かさを享受することは難しくなっています。つまり、収入が増えればそれだけ負担も増えるので、むしろ非課税世帯(1人あたり年収100万円以下)のほうが自分らしく、シンプルに生きられるわけです。
現在の日本社会は、平均年収400万円台の人より700万円台の人のほうが不幸であり、住宅ローンや子供の教育費に追われているのが現状です。700万円の壁を超えればまた世界が変わりますが、日本政府(財務省や国税庁)はそれを阻んだ政策を打ち出しています。
ちなみに、700万円の壁を超えるには自分で会社を立ち上げ、10年以内で懸命に働いて資産を作るしかないように思います。その後、余剰資金で金(ゴールド)を買ったり、主要ターミナル周辺のテナントビルを買うなどでさらに資産を増やすしかありません。
結局、退職金が出ても証券会社や銀行に騙され、投資信託(株式)に資金を回すからギャンブル化してしまうように思います。すでに世界的な「金融バブル崩壊」は始まっており、金や不動産さえリスク資産になる可能性があります。
ピケティ最大の謎「r>g」の正体に迫る! 世界が答えを求めている
(出典:2015年1月24日 東洋経済ONLINE)
要するに、普通にサラリーマンをやっているだけでは、全く貯蓄できない社会体制が敷かれているということです。このことを具体的に説明しているのが、ベストセラー「21世紀の資本」の著者であるフランスの経済学者トマ・ピケティです。
しかし、本を読み慣れていない人や語彙が少ない人には理解することが難しいので、ここで私がわかりやすく説明します。一言で言うと、資本主義社会は「r>g」という方程式が支配しているからです。
つまり、「r」は資本収益率(純資産の成長率)であり、「g」の国民所得の成長率(GDP)よりも大きいということです。もし「r=g」であるなら、資本の収益率も国民所得の成長率も同じになり、国民所得に占める労働所得の分配率も同じなので問題はありません。
平均手取り35万円?…「日本のサラリーマン」に待ち受ける「給料」と「年金」の厳しい現実
(出典:2023年6月18日 Yahooニュース)
ところが、実際には「r>g」で格差も大きいために経済格差が広がっています。資本家はさらに資本を増やし、労働者は貧しい生活を強いられています。自分の労働力を売るだけのサラリーマンは、年金しか収入がないのは誰の目にも明らかです。
結局、一流大学を卒業し、優良企業に入社しても安定した人生を歩めるとは限らないということです。幻想を見ている現役の中学・高校生は、今日も学習塾や英会話教室に通って「受験勉強」に備えています。
いずれにしても、政府や自治体、大企業に依存しない人生を送りたいなら、自分自身で事業を展開するしかありません。ただし、素性がよくわからない会社・個人からモノを買おうとする客はいないので、それなりの努力と忍耐力が必要となります。
だからこそ、まずは買い物する回数や量を控え、貯金に集中できる環境作りから始めていきます。それでも政府は税金を徴収し、大企業は消費させるように誘惑していきますので、精神力が試されるのは言うまでもありません。
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