IMF(国際通貨基金)に続いて、最近発表されたOECD(経済開発機構)の景気先行指数もこれから深刻な不況に入ることを示唆していることが考えられます。
OECDとは、欧米諸国や日本を中心に国際経済全般について協議することを目的とした国際機関のことです。OECDが各国の経済指標から今後6ヵ月の景気動向を予測した数値では、数値が99.3を下回ると今後数カ月以内に不況に突入する可能性が高くなるという基準があります。
過去に99.3を下回った1970年から2008年の計7回の予測はすべて的中しており、その後不況に突入していることが確認されています。景気先行指数は、2018年11月時点で不況突入の分かれ目となる数値の99.3と記録されています。
ということは、半年後の今年5月までには世界が本格的な不況に突入してもおかしくないことを示していると考えられます。
一方、IMFの経済見通しでは2.5%に据え置かれた2019年度のアメリカの経済成長率ですが、楽観的な見通しを否定する数値が多くなっています。住宅販売件数は、景気判断の重要な指標ですが、昨年12月の販売権数は11%と大きく下落しており、2016年以来の下落となっています。
また、新築住宅の販売件数も1年前の2017年12月と比べて18%も下落しています。ローン金利の上昇を受け、2008年に起きたいわゆるリーマンショック(世界金融危機)以降、比較的に順調に上昇していた住宅価格が下落に転じているわけです。
さらに、新卒者の求人件数も下落となっており、いずれも昨年12月には過去8年間で初めて求人数は13%も下落しています。ある調査機関によると、全体の75%は就職できなかったという調査結果もあるほどです。
こうした状況を受けて、本格的な調査に乗り出したところ、約1400社の大手企業のCEO(会社社長)へのアンケート結果では、約30%が2019年は不況に突入すると回答していることが明らかになりました。
2018年は5%しかいなかったわけですが、通常、企業経営者というのは悲観的な見通しの発表を好まないものですが、今年は例外的と言えそうです。特に、アメリカでは経済の落ち込む可能性を深刻に捉えているのかもしれません。
また、大手格付け機関ムーディーズのアナリストは、すべての指標がこれから不況に突入することを示しているとし、遅くても2020年までには深刻な不況になるはずと予測しています。つまり、2019年にも不況に突入してもおかしくない状況にあるということです。
外国メディア(英語)では、楽観的な情勢判断が少なくなり、経済の先行きを懸念する悲観的な見通しを伝える記事が増えつつあります。これは歴史的に考えると、世界大恐慌の引き金になった1929年10月のウォール街大暴落からの約10年間に似たような状況にあるとも考えられるわけです。
正しく歴史を振り返ってみると、1929年当時は設備投資や住宅販売、雇用率、個人消費などが若干悪化していましたが、しかしその下げ幅が景気循環の下降局面に典型的な水準であったと判断され、1930年には回復できるとマスメディアを中心に思われていました。
ところが、バブルで膨れ上がった株式市場が過剰反応したことでパニック売りとなり、株は大暴落したというわけです。そして、この大暴落が引き金となり、まずは金融危機に陥り、結果的に実体経済はどん底まで突き落とされました。その本格的な回復は、1940年代の第二次世界大戦までかかったとされています。
つまり、景況感の悪化によって不況が進行したのではなく、市場の暴落による金融危機が実体経済を深刻な不況へと引き込んだということは明らかです。今、世界はこの方向に向かっている可能性があり、アメリカや中国などで予想を越えた悪い数値が発表されただけで、市場は暴落するような綱渡りの状態となっています。
崩壊しつつあるグローバル経済の枠組みとその後にやってくる不確定な未来を目の前に、金融市場関係者は大きな不安に駆られています。私自身、世界的な大恐慌の前に起こりえる日本の債務不履行(デフォルト)についても情報分析し、対処方法を提示したいと考えています。
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