今回のメインテーマは、来年2020年に起きることです。今年、世界中ですでに起きているデモや暴動は、さらに来年にも拡大していくことになるのは明らかです。
そういう意味では、2020年は激動の年になると予測したとしても、最も難しいのはその出来事が「何月、何日、何時」に起きるか、です。私自身、今年だけでも予測が外れたことはありましたが、時期がズレたこともあったように思います。
サウジの憂鬱、アラムコ上場が招きかねない逆風
今回は、中東について予測していきます。トランプ政権とサウジアラビアの間では、すでに取引が成立していることが明らかになっています。
なぜかと言えば、最近、サウジアラビア国営石油会社「サウジアラムコ」の株を上場させる必要からサウジアラビアは資産を売却しましたが、それを買ったのはアメリカの企業であることが報道されたからです。
この見返りとして、サウジアラビアはアメリカから大量の兵器を購入することを約束しています。これによって、サウジアラビアは言うことを聞かない中東地域諸国を軍事力で脅すことになるかもしれません。
一方、サウジアラビアの政敵であるイランですが、欧米諸国からの全ての核開発を放棄するようにとの圧力は一層強まることになりそうです。経済制裁は一層強化され、イランに関する全ての貿易は禁止されることになると思われます。
つまり、イランとサウジアラビアとの対立は一層激しくなり、サウジアラビアはこれまで攻撃してきたイエメンではなく、イランとの軍事的な対立に焦点を移すことになる可能性が高いということです。
サウジアラビアとイランはなぜ対立するのか
そして、最終的にはイランとサウジアラビアの大きな戦争に発展することになりますが、これも2020年ではなく、トランプ大統領の2期目の最終年である2024年以降になると思います。それでも、2020年は両国の衝突へと向かう出来事が始まるということです。
当然、イランとサウジアラビアの対立関係を一層悪化させるのは、中東地域の隠れ覇権国であるロシアの介入であって、ロシアはより積極的に前覇権国であるアメリカが完全に去った後は、覇権国として中東に介入していくはずです。
他方、関係が緊張する地域の一つとして、パキスタンとトルコの関係にも注目するべきです。米軍がシリアを去った後、すぐにトルコはシリアに侵攻したわけです。同じようにトルコは、パキスタンにも介入していくものと考えられます。
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