世界経済の景気後退についての報道記事は、お盆頃から欧米のマスメディアで一斉に増え始め、今や世界中の人々の一般的な認識となりつつあります。
しかし、経済危機を誘発する引き金については様々な意見があり、ニューヨーク・タイムスのようレバレッジ・ローン(CLO)が引き金になるという見方ではなく、CNNのようにはそれ以外が引き金になると記事が書かれています。
その代表的なメディアがCNNです。8月17日には「Five of the world's biggest economies are at risk. Here's where the US stands(世界経済が危機に瀕している5つの要因、アメリカはどこに位置しているのか?)」という記事がCNNの経済担当記者によって書かれました。何度も言いますが、英語を読めない方は、英語を勉強する必要があるのは明らかです。
Five of the world's biggest economies are at risk. Here's where the US stands
「米中貿易戦争やドイツの景気後退、中国の減速などが背景となりダウ平均株価は大幅下落しました。これは、アメリカが景気後退に入ったかもしれないとの懸念を強めています。しかし、米中貿易戦争のお陰で企業の投資は減速しているものの、アメリカ経済の3分の2を占める個人消費はいたって堅調で、失業率も過去50年で最低水準にいます。
アメリカがこれから景気後退に入る感じではないですが、好景気が永遠に続くことはあり得なく、不況は必ずやってきます。米中貿易戦争の余波を懸念して消費者が消費を控える可能性があり、アメリカ経済の土台である個人消費は冷え込み、景気後退に至るかもしれません。
そして、トランプ政権が中国に適用した高関税に中国は報復しており、農産物がターゲットになっています。米中貿易戦争がさらに激化すると、マイナス効果は様々な産業に拡大し、アメリカの不況の引き金になるかもしれません。
いよいよ中国経済は減速し、ドイツとイギリスは景気後退に入っています。これからEU離脱で状況はもっと悪くなるかもしれません。こうした複数の国々が引き起こしたグローバル経済の減速が、アメリカ経済を不況へと追いやるかもしれないわけです。
最近のアメリカを見ると、目標としたインフレ率がたった2%であるにもかかわらず、未だに到達していません。もしかしたら、これからアメリカはデフレになるかもしれません。日本のようにデフレになると脱出することは難しく、長期の低迷になる可能性もあります。
最後はイギリスのEU離脱についてですが、これがどこまでヨーロッパ経済、そして世界経済を下方に引っ張るのかはわかりませんが、これがアメリカの不況の引き金になる可能性もあります。」
その他、欧米諸国ではマスメディア以上にオンラインだけで配信されているネットメディアも大きな影響力を持つようになりつつあります。そのネットメディアのニュース配信サイトでも、「世界中で不況に入りつつある」という報道記事が出ています。
すでにアメリカでは、景気後退に入る予兆が出てきているとされており、アメリカだけではなく諸外国も不況に入りつつあるということです。一方、日本でも中国への輸出が減少している時に韓国との貿易戦争が始まっています。
イギリス経済は、すでに景気後退に入ったという認識が一般的になっており、ドイツも景気後退入りを宣言しています。さらに、中国の経済成長率は2002年以来の低迷と報道されています。シンガポールやブラジル、アルゼンチン、そしてメキシコも景気後退期に入っています。
このように、世界各国の不況が連動している状況の中、まだ公表していない諸外国も不況に入る可能性は高く、またもや日本は世界で最も遅く公表することになると思われます。この状況をつくった背景がトランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争であることは明らかです。
しかし、それだけが原因ではなく、世界各国の政治的混乱が不況をつくったことも考えられます。つまり、どの国も国内の政治的な混乱から経済にエネルギーを集中できないということです。政権内の深刻な対立から経済への対処がままならないのが現状です。
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