LEAP(Laboratoire Européen d'Anticipation Politique)
今回のテーマは、世界各国のシンクタンクが発表した2020年以降の世界経済予測についてです。特に、フランスの「LEAP(Laboratoire Européen d'Anticipation Politique)2020」が注目を集めています。
「LEAP」は、50名ほどの研究者と専門家が世界の政治経済的な変動を予測し、投資のアドバイスも行っているシンクタンクです。有料レポートをほぼ毎月発行(フランス語)しており、世界中で購読されています。
LEAPは、2006年頃に数年以内に金融危機が発生し、グローバル経済の枠組みが壊れ、中国を中心とした新興勢力の急速な台頭によって世界は多極化すると予想していました。また、金融危機の発生からアメリカが覇権を放棄することで、世界が大きく変化していくとも報告していたわけです。
当時、グローバル企業の業績はピークに達しており、世界経済の順調さから金融危機が発生する予兆は全く感じられずにいました。むしろ、さらにグローバル化が進み、国境がなくなるなどという楽観的な見通しがありました。
当然、LEAPの金融危機の予測を多くの読者が信じられずに、翌年4月頃から金融危機が静かに始まりました。まず、サブプライムローンが破綻し、2008年9月にいわゆるリーマンショック(世界金融危機)が起きてしまいました。
そのため、2009年初旬頃からLEAPは注目を集めるようになったということです。しかし、LEAPの予測が全て現実になるというわけではありません。ただ、中国の一帯一路政策やトランプ政権の誕生、イギリスのEU離脱などを予測していることから、世の中にこれ以上の未来予測ツールがないのが現状です。
このように、未来予測に成功してきたLEAPですが、実は2020年以降の未来予測についてはかなりポジティブに報告しています。つまり、世界経済は長期的に安定していくと予想しているというわけです。
これまで私は、Atlasマンツーマン英会話の多言語ネットワークを駆使し、様々な言語で書かれた文献を読み漁り、コラムという形で国内外情勢の未来予測を提示してきました。10年以上在籍した米軍での経験から分析もしてきました。
そのような状況の中、世界各国でデモや暴動が発生していることを詳しく説明したり、これまでの安定した社会構造が変化し始め、東アジアや中東諸国では金融危機や自然災害、戦争が起きることを伝えています。
アメリカのシンクタンクが世界を動かす力を持つ理由
今、こうした現象は私たちの目の前で進行しており、あと数週間で訪れる2020年からはさらに社会の流動性が激しくなるとこのコラムでは予測してきました。北朝鮮やイラン、中国はアメリカと激しく対立し、これが戦争や世界金融危機を引き起こす可能性があるということです。
しかし、LEAPの報告書では世界は安定期に入る可能性が高いと報告しています。LEAPのような信頼できるシンクタンクがこれまでとは異なるシナリオに転換したことが重要であるということです。
もしかすると、2020年以降は大方の予想を裏切って本当に長期間にわたって安定していくかもしれません。では、これまでの予測は何だったのかと思われがちですが、さらに緻密に分析していく必要がありそうです。
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