シンクタンクにも左派、保守派、独立派があり、その影響力は絶大
前回の続きですが、ブロックチェーンに記録された個人のデータをAI(人工知能)が分析することで、そうした記録の集合体である特定の社会集団のデータをビッグデータとすることもできるようになるかもしれません。
高度なAIが的確に分析し、個人と社会集団の将来の行動を予測する仕組みが、フランスのシンクタンク「LEAP」の報告書にかなり似ていると思うわけです。
LEAP(Laboratoire Européen d'Anticipation Politique)
実際に、各国政府がそれぞれ国民の不安や不満を事前に把握し、社会政策をきめ細かく実施すれば社会を安定化させることができるはずです。それには、AIとブロックチェーン、ビッグデータを活用して社会調査を行うしかありません。
例えば、医療や保険、教育、商品の購買履歴などを通して、個人をプロファイリングすると同様の方法を用い、個人が一体何に不満を持ち、何にストレスを感じ、そして何を望んでいるのかさえ政府は知ることができるようになります。
結局、こうした調査を行うことで、特定の社会集団の要望にカスタマイズされた政策の実施が可能になるわけです。ただし、安倍政権のような全てのデータをねつ造、改ざんするような政治家が存在しているのであれば、それは不可能です。
しかし、国民の意見や要望、そして政策に対する満足度を政府が国民から聞き出せることができるのなら、これは新しい民主主義(民主的社会主義)の形態になるものと思われます。
米国の民主的社会主義って何? 大衆が生産や資源管理 リーマン後に若者魅了
今後も、選挙で国民の代表を選ぶ制度が続くとすれば、政府が国民の要望と意見を細かく聞き、政策を個人やコミュニテイーのニーズにカスタマイズさせる新しいタイプの「社会管理型民主主義」が誕生することになるということです。
このような、「社会管理型民主主義」を最初に導入する可能性が高いのは共産主義国家の中国であることは誰の目にも明らかです。実は、浙江省ではすでに400回近く住民の要望を聞き、問題を協議しているようです。
香港の混乱が激しくなった11月、中国共産党は新しい方針を発表しています。まず共産党は、今後の重要な政治方針を決める中央委員会総会を開き、国の統治の方法をより現代的なものに変える、という方針を決定しています。
これは、建国100年にあたる2050年を見据え、統治システムの現代化、共産党による民主的な政務の執行、そして人民を主権者にした社会主義的な民主政治を発展させ、さらに国家の安全を守るための法と執行制度を確立することが目的となっているようです。
人民を主権者にして社会主義民主政治を発展させる、ということは、まるで共産党が「民主主義を導入する」とはっきり言っているようなものです。
実際に、習近平・国家主席は、「ブロックチェーンをイノベーションの中心にし、ブロックチェーン技術と産業イノベーション発展の推進を加速させる」と発言しています。さらに、「ブロックチェーン+(プラス)」という応用技術で実体経済に役立てる」というメッセージも出しています。
習近平「ブロックチェーンとデジタル人民元」国家戦略の本気度
「ブロックチェーン+(プラス)」というシステムを用いて、窓口を一つにした社会保障を導入しようとしているわけです。つまり、医療や健康保険制度をAIとブロックチェーンを組み合わせて個人のニーズにカスタマイズするということです。これこそ、「社会管理型民主主義」と言えます。
今、香港で起こっている動乱に対して、中国政府は導入までは間に合わないと思われまますが、香港の抗議運動が大きな教訓となり、これから中国本土では高度なテクノロジーに基づいた「社会管理型民主主義」が早急に導入される可能性があります。
世界を操る政策集団であるシンクタンクの報告書は、2020年以降の社会体制を決定するヒントになり、欧米諸国や中国から順に導入され、その結果、社会の安定期に入ると予測しているところがあるという話です。
それは、これまでの民主主義体制とは異なるものの、民主化の新しい方向性ではないかと考えられます。しかし、こうした「社会管理型民主主義」の導入前に、金融危機や自然災害、戦争などが発生し、混乱期に突入する可能性もあります。
私たち人類は、滅亡の危機が先か、社会を安定させるシステムの導入が先かが問われています。一体どちらの方向に進むのかは、私たち次第であるということです。
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