コラム:世界的インフレ懸念と強まる日本のデフレ色、ひずみはサービス業に
(出典:2021年3月4日 Reuters)
世界中で森林火災が発生し、深刻な水不足に陥っている中、これから農作物や畜産、そして食料生産への影響が明らかになってきます。
以前から予測されていたように、被害額は予想を越えた水準になる可能性が高く、スーパーなどで購入する食料品の価格が大幅に高騰することは避けられないかもしれません。
私たち日本人が、ここで認識しておかなければならないことは、かれこれ25年以上も続くデフレ不況の日本でも食料品の価格が高騰する可能性があることです。
ところが、日本人にはもはや購買力がなく、どんなに価格が安くなっても衣類や電化製品を買い替えようとしない傾向が目立ってきました。安倍政権が、2014年4月に消費税を8%に値上げして以降、消費が冷え込んだままの状態が続いています。
必要なモノやサービスでも買わなくなりつつある今、若い人の間で生活不用品の排除の動きが起きています。「断捨離」が流行し、健康を悪化させる安いコンビニ弁当だけを食べ、災害が起きても体一つでどこへでも移動する防御態勢に入ってしまっています。
富裕層が絶句!相続税と贈与税の一体化で、大増税時代が到来
(出典:2021年5月6日 Yahooニュース)
問題は、アパート経営をしている小金持ちがこれから所得税や相続税の値上げで国に資産を奪い取られることです。経産省や財務省、そして国交省の官僚たちの多くが経済学部を卒業しており、古い経済学でしか物事を考えられなくなっているのが現状です。
日銀の金融緩和政策によって、すでにあらゆる分野で市場原理が働かなくなっていますが、本当は「政治が経済を決めている」ことを見つめ直す必要があると思います。つまり、金融市場を操作しているのは世界支配層であることを知るということです。
しかし、このことを認めてしまうと新聞記者たちが投資家や企業経営者たちに情報を与えるための記事が書けなくなり、仕事がなくなってしまいます。1年半も続く「コロナ騒ぎ」こそ、世界規模で計画されたデフレ脱却のために給付金をばらまいていることが分かります。
米FRB、7月会合で「米経済の進展」を強調―8月下旬にも量的緩和縮小を表明か(下)
(出典:2021年8月10日 Yahooニュース)
さて、外国債券や株式を大量に保有する「債権国」である日本ではデフレが続いていますが、世界各国ではインフレになりつつあります。特に、アメリカではインフレが終息する見込みが立っていないように思います。
アメリカのFRBは、「インフレが終息する可能性が見えてきた…」と公表していますが、投資家や企業経営者の間ではそれは現実的ではないと見られています。アメリカ供給管理協会(ISM)の調査によると、サービス業の分野で過去最高のインフレを記録したと発表されています。
サービス業は、アメリカ経済の約80%を占めていますが、経済全体が持続的なインフレ状態にあることを示しています。要するに、サービス価格の上昇が続いているということです。
インフレが起きているのはサービス業だけではなく、電力やガソリン、天然ガスなどの分野ではオイルショック以降で最も急速なインフレ率の上昇に直面しています。また、半導体不足で新車販売数が低迷し、中古車価格が上昇しています。
さらに、賃貸住宅の価格が半年で10%以上も値上がりし、賃貸アパートの空室率は過去最低の6%にとどまっています。毎月のように、家主から家賃の値上げを言い渡されるのは辛いものがあります。
消費者物価指数の主な構成要素である家賃や住宅、商品、サービスはインフレが続いた1970年代以降で最も高い上昇率を示しており、この1年で平均5%以上のインフレが継続することを意味しています。
卵、大豆、食用油…相次ぎ値上げ 企業・業者、価格転嫁か我慢か苦悩
(出典:2021年6月21日 Yahooニュース)
インフレは、すでに経済成長の妨げになっており、原材料費が上昇すると企業はそれを製品価格に上乗せし、何とか利益率を維持しようとします。しかし、原材料の価格が企業の生産する商品やサービスの価格よりも早いペースで上昇する場合、企業の利益率は低下していきます。
損失を出さないために、企業によっては生産量を縮小したり、撤退することになりかねません。これによって、さらに景気を引き下げるようになる悪循環が生まれてきます。
アメリカでは、昨年のコロナ騒ぎから急激な景気回復が続いていると報道されていますが、実はインフレの問題は想像以上に深刻です。もし農作物や畜産、そして食料価格の高騰が起こる場合、アメリカのインフレは10%を超えてくると思われます。
アメリカを例に説明してきましたが、食料価格の高騰はすでにインフレ基調にある日本以外の世界各国で大きな影響を与えています。実は、日本は外国と比べると「まだマシ」であるということです。
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