日米で中古車高騰 コロナで需要増、半導体不足が拍車
(出典:2021年5月22日 日本経済新聞)
長年日本に住んでいると、欧米諸国など海外のインフレ率の高さを実感することはできません。日本は、米国債を保有する「債権国」であるために慢性的なデフレ状態にあります。
だから、価格が高騰した商品を取り上げる必要があると思います。例えば、日常や仕事で必要な中古車の価格が上がっています。
世界的なコンピューターチップ(半導体)不足の影響で、新車の生産台数が大幅に減少したため、買い替えなどで人々が中古車を買う傾向にあります。実際に、中古車価格は過去に例を見ないほどの勢いで上昇しています。
2021年10月は9月よりも価格が9.2%も上昇していますが、2020年10月から何と38%も上昇しました。さらに、2019年10月から59%も上昇しているので、新車で購入して2年経っても購入時よりも高く売却することができるわけです。
現在、毎月のように中古車価格は上昇しており、2022年もこの動きは続くものと思われます。通常、アメリカでは10月頃から中古車価格が下落し始めますが、1997年から統計が取られて以降、今年10月は季節調整なしで初めて価格が上昇しました。
しかし、一般的なアメリカ人はこのような急激な価格上昇が、これから食料など生活必需品にも波及すると恐れています。ガソリン価格の高騰で車で遠出することを控えている中、中古車は必ずしも必要ではないという認識もあるようです。
原油高騰で悲鳴 ガソリン、電気、ハウス野菜、牛丼まで値上がり
(出典:2021年11月27日 Yahooニュース)
実は、食料品についてもすでに予想を越える価格上昇が始まっています。例えば、アメリカ国内の大型スーパー「コストコ」では一部の牛肉価格が2020年と比べて約30%も上昇していると報告されています。
その他のスーパーでも、買い物客が牛肉の購入を控え、代りに豚肉や鶏肉など安価な肉に購入する傾向があります。このまま食品価格が高騰し続けると、アマゾンのように大企業が配送業者を乗っ取るようなことになりかねません。
また、ブランド牛などを積み込んだトラックを襲撃するような事件が発生し、武装した警備員が同乗するような事態になるかもしれません。アメリカでは、白昼堂々と集団強盗する光景が各地で見られています。
さらに、電気やガスなどの燃料価格の高騰も深刻で、今年の冬は全米各地で寒い冬になると予測されており、暖房に費やすコストが例年よりも高くなると予想されています。昨年、一時的にWTI原油価格は廃棄物と見なされる1バレル=43ドルまで下落しましたが、今年になって85ドルを超えました。
アメリカ人の半数は、暖房に天然ガスを使っていますが、昨年と比べてガスの価格は約2倍にまで高騰しています。都市郊外では、薪ストーブで暖を取る習慣がありますが、都市部では灯油やプロパンガスが主流です。
ガスほどではないですが、電気料金も約6%の上昇が見込まれており、アメリカ人の多くが家の中で凍死するという事態が起きると思います。日本でも、真夏に脱水症状で亡くなるお年寄りがいますが、北海道や東北地方の冬は要注意です。
大退職しているのはミレニアル?Z世代?一度味わった柔軟性のある働き方は手放せない
(出典:2021年11月26日 BUSINESS INSIDER)
インフレ率が上昇した原因の一つに、失業者数が増えたことが挙げられます。コロナ前の2020年2月と比較すると、2021年10月の失業率は日本で25万人増、アメリカで190万人増と公表されています。
日本(1億2000万人)の約3倍の人口を抱えるアメリカ(約3億人)ですが、単純計算でも日本の9倍近くの失業者数を記録しています。ちなみに、人口6700万人のイギリスで15万人増、韓国で27万人増です。
アメリカの失業者数は、ロックダウンなどで経済的影響がピークに達した2020年4月から、規制が緩和されるごとに減少しています。結局、失業した190万人はまだ職場に戻っていないのが現状です。
現在、日本でも25万人が無職であり、どのように生活をしているのかと言えば、生活保護を受けている可能性が高いと思います。それが嫌な人たちは、貯金を切り崩しながらの生活や年金、若い人の間ではユーチューブなどのSNSに投稿して日銭を稼いでいます。
強烈な人手不足の中、企業は雇用を促進するためにあらゆる努力をしています。しかし、人手不足はコロナ前から始まっており、転職サイトや雑誌を介して誰でもいいから採用する動きが見られていました。
アメリカでは労働賃金が大幅に引き上げられ、トラック運転手でも年収1000万円を超える待遇を受ける人が増えています。その他、大学への進学費用を負担したり、違法ドラッグ検査を免除するなど、企業側の負担が重くなる一方です。
労働力不足の日本、外国人労働者「無期限滞在」許可を推進=韓国報道
(出典:2021年11月18日 Yahooニュース)
30年以上もデフレの日本では、労働賃金が大幅に引き上げられることはなく、人手不足を外国人実習生で乗り越えようとしています。日本の若い人たちは、一体どこで何をしているのでしょうか?25万人の失業者が、職場に戻る気配は今のところありません。
人手不足の問題は、やがて労働賃金を上昇させ、企業は賃金の上昇分を製品・サービス価格に上乗せすることになります。デフレの日本であっても、インフレに向かっていけば物価が上昇していくのは避けられなくなります。
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