格差はやがて社会の分断、暴動、革命に発展
(出典:2019年12月2日 DIAMOND online)
これまでの資本主義の歴史を振り返ってみると、貧富の差の拡大が社会構造が大きく変わるの引き金になったことが何度もありました。
例えば、アメリカ南北戦争や明治維新などが起きた1860年代から1900年代にかけて、身分制度や階級社会によって経済格差が広がり、ストライキや抗議デモ、暴動、革命が起きています。最終的に、それが第1次世界大戦の原因と言われています。
その後、1929年にニューヨーク・ウォール街で始まった株価大暴落は、1940年まで世界大恐慌を引き起こし、世界中で経済格差が広がり、暴動や革命などの社会不安から、第2次世界大戦が始まったわけです。
だから、戦後の資本主義は貧富の差を極力なくし、真面目に働けば誰でも豊かな生活が保証されるために社会制度が確立されました。しかし、1980年代後半から台頭し始めた「新自由主義」によって都合よく法律が変えられました。
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(出典:2021年2月12日 Reuters)
実際に、アメリカでは一部の政治家や投資家によって金融市場が支配されるようになり、国営企業の民営化などで規制が撤廃され続けてきました。日本でも、2005年の「郵政民営化選挙」で勝利した小泉政権の竹中平蔵を中心に、それから貧富の差が容認される社会体制になっていきました。
2020年3月、安倍政権による消費税導入による大企業優遇政策で拡大した経済格差は、新型コロナウイルスの感染拡大でさらに拡大しました。貧富の差は、すでに第2次世界大戦前のレベルを超えており、世界中で反ワクチンパスポートなどの抗議デモが続いています。
暴動や革命というよりも、人々は会社で働かない選択をすることで資本主義による労働形態から脱却しようと動いているように思います。賃金は徐々に上昇していますが、それでも大企業に抵抗する動きが止まる気配はありません。
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(出典:2021年11月3日 朝日新聞)
このまま働かない抵抗を続けていても、いつか預金が底をつく時が来てしまうのは間違いありません。仮想通貨(暗号資産)や株投資などで利益を上げる人や、SNSを利用して新たにオンラインビジネスを展開したとしても、どこまで持ちこたえるかは分かりません。
もし医療や介護、教育、小売り、運送などに従事していた労働者が、職場に戻らない場合、日本以外の諸外国のインフレ率は上昇し続け、生活に必要な食料品や電気代などが物価高で慢性化することも考えられます。
このような状況を解消するためには、労働者には適切な賃金が支払われ、真面目に働けば中産階層の生活が保証されたようなバブル崩壊前、つまり1980年代までの社会体制に戻す必要があります。
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(出典:2021年10月24日 BIGLOBEニュース)
そのためには、安倍派と名前を変えた清和会を潰し、維新の会に巣くう竹中平蔵を抑え込みながら富の分配の構造を変え、賃金の大幅な上昇と安定した雇用を保証する政策を岸田政権が行う必要があります。
残念ながら、岸田政権は1年持たないと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大でさらに拡大した貧富の差がもたらす矛盾に対処するために、まずは是正策の早急な導入が求められているのは間違いありません。
岸田政権の「分配なくして成長なし」をスローガンにした「新しい資本主義」の概念や、アメリカのバイデン政権の100兆円を越えるインフラ建設と生活支援プログラムは、賃金の上昇や格差是正の税制改革、そして社会保障の充実を狙ったものであるように思います。
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