ペロシ氏訪台受けた中国軍演習、本格衝突回避でも情勢緊迫=専門家
(出典:2022年8月3日 Reuters)
先日、アメリカ下院議会のペロシ議長(安倍やバイデン同様、本人ではない)が台湾を電撃訪問し、アメリカ空軍のジェット輸送機で台湾北部にある空港に着陸しました。
この輸送機は小型のエアフォースワンであり、長官クラスの議員が機内から指令を出せるように通信設備が整っています。つまり、ペロシは軍用機で中国を刺激しながら堂々と台湾を訪問したということです。
それに対して、中国政府の立場としてはあくまで台湾は中国の領土であり、外交ルートによる了解がないままアメリカの軍用機で下院議長が蔡英文・総統と会談するというのは、テロ行為であると認識しているわけです。
だから、前の訪問先のマレーシアから離着した時点で、中国軍は空母打撃群2艦隊を台湾に派遣し、中国本土の旅客便を全便キャンセルさせました。なぜかと言えば、中国空軍のミサイル攻撃や陸軍の弾道ミサイル発射で墜落する恐れがあるからです。
中国、ミサイル含む軍事演習 台湾周辺「長期的なもの」
(出典:2022年8月3日 産経新聞)
ロシアがウクライナ侵攻前に行ったことはサイバー攻撃であり、まず制空権を奪うために自国の航空機を地上に降ろすことで配慮した形です。また、中国軍は台湾周辺を取り囲むようにを8月1日から7日まで軍事演習を実施すると発表しました。
中国政府は、ペロシの台湾訪問を警戒しており、戦略的に軍事演習から侵攻への準備を進めています。ロシア軍もウクライナ国境付近で大規模な軍事演習を実施した後、国境を超えて侵攻を始めました。
一方、アメリカ政府も佐世保の米海軍基地から、空母打撃群と強襲揚陸艦による艦隊を台湾周辺に派遣し、表向きだけは台湾防衛のために軍事行動を示しています。要するに、米軍と中国軍は戦闘状態に突入したということです。
昨日、ペロシ下院議長と蔡英文総統が会談した後、何事もなくペロシは次の外遊先である日本に向けて準備をしています。中国軍の軍事演習は8月7日までなので、それまでにはアメリカに帰国する必要があるということです。
今回、ペロシ下院議長が訪台した目的は、アメリカは台湾を支持していることを改めて示すことです。ウクライナ戦争でロシアに敗北したアメリカは、次の戦場を東アジアに決めました。中国と台湾、そして日本を戦争状態にさせることで「戦争経済」で儲けようとしています。
私は、中国が台湾を攻撃するようなことはしない、と思っていますが、万が一のことを考えると首都の台北市や空港、軍事施設周辺から避難する必要があると思います。台北市に住んでいる友人たちにはそのことをチャットで伝えましたが、まだ避難はしていないようです。
台湾人、有事の米軍派遣「信じない」54% 半年で急増
(出典:2022年4月26日 日本経済新聞)
さて、もし本当に中国軍が台湾に侵攻した場合、米軍は台湾を防衛するために動きません。台湾人のほとんどがそのことに気づいていますが、在日米軍や在韓米軍は、主力艦隊や空軍機をまずグアムのアンダーセン基地に撤退させる可能性が高いと思います。
ペロシが、台湾を防衛するという意志表明をしたとしても、攻撃を受けると米軍は様子を見るために一時的に撤退し、台湾と日本に任せてデータを分析する必要があります。実際に、ウクライナ戦争では米軍は兵士を派遣しませんでした。
台湾は沖縄よりも南国であり、人々の生活はゆったりとしています。ある意味、日本人よりも平和ボケした人たちが大勢、台北近郊で暮らしているわけです。むしろ、東部の花蓮県には英語を流暢に話すエリートたちが滞在しています。
有名観光地である太魯閣(タロコ)峡谷の玄関口である花蓮駅前には小規模な飲食店街がありますが、アメリカや日本の一流大学に留学したことのある上級公務員や大手IT企業の幹部たちと出会うことがあります。
彼らは政治や経済に強い関心があり、世界情勢についてもしっかりとした強い意見を持っています。日本人とは比べ物にならないほど優秀で、中国による台湾侵攻には時間をたっぷりかけて備えてきました。
当然、中国共産党と深い関係をもつ人間もいるため、そこでスパイ活動も行われています。情報を持たない一般の台湾人には地獄ですが、エリートたちはカネを儲けるための絶好の機会です。
中国を挑発する米国は台湾有事に日本参戦が前提
(出典:2022年6月17日 JB press)
日本国民にとっても、台湾有事は日本有事であり、台湾侵攻の次は尖閣諸島、そして沖縄がターゲットになっていきます。日本の自衛隊の動きは活発ですが、実践経験がないまま果たして戦えるのでしょうか?
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