何度も繰り返し聞いていますが、未だに実感がないサラリーマンたちにもいるようです。しかし、2019年になってからというもの、世界は一層不安定化して危機に向かっているという印象が強くなっているのは明らかです。
米中貿易戦争から通貨戦争に始まり、中国人民解放軍の介入が秒読み前の香港情勢、移民・難民問題で分裂していくEU(欧州連合)、対イランとの戦争危機など世界中で動乱が続いているわけです。
米、安保理で有志連合訴え ポンペオ国務長官、イラン非難へ
これらは2018年、あるいは2015年頃から続いている問題ではありますが、2019年は緊張感がピークに向かいつつあるように見えます。このままピークに向かっていくと、あらゆる問題がコントロールできないほど危機的な状況になる可能性もあります。
その結果、景気後退(リセッション)から恐慌(ディプレッション)に入り、新たな世界恐慌から混沌へと世界が沈む恐れさえあるわけです。私たち「情報リテラシースクール」では、このような問題に注目し、それが今後向かう方向を日々分析しています。
こうした多くの問題の基本的な背景になっている全体的(entire)な視点に加えて、俯瞰的(Bird's-eye view)な視点から目を向けることが求められているように思います。このような視点から具体的にイメージできるようになるということです。
今、世界中で起きている全ての問題は、それぞれ独自の要因があるわけですが、問題を大きくしていくのは私たちの感情の流れであるかもしれません。つまり、地政学的な力学だけで自然に発生したということです。
そして、背後から問題の拡大を仕掛けているアメリカやイギリスの軍や諜報機関などの関与があることは明らかです。
例えば、香港で起きているような暴動にはCIAやMI6と連動しているNGOなどが抗議デモの資金提供と組織化には深く関与していることがわかっています。動画を見ると、香港国際空港を占拠している学生たちの中には、アメリカとイギリスの国旗を掲げている者がいます。
反送中衝突再升級女示威者眼球破裂送醫
また、トランプ大統領が一方的に仕掛けたイランとの対立には、大統領補佐官で安全保障担当のジョン・ボルトンと連動したイランの反体制組織でアメリカが支援している集団も動いているのがわかります。
さらに、ベネズエラの反政府運動にもCIAが関与していることがわかっており、これから米中や日韓の対立にも仕掛けた組織の関与が見えてくる可能性は高くなっています。
しかし、こうした問題の拡大が外部の組織による意図的な介入だけに起因するわけではなく、問題そのものがマスメディアを通して拡大させているのは、私たち自身であることも知るべきです。
なぜかと言えば、香港人に中国共産党に対する蓄積された不満がなければ、外部からどんな働きかけがあってもここまで暴動は大きくならないからです。イランとの対立でも、アメリカ人のイスラムに対する憎しみ、そしてイラン人のアメリカへの憎しみがあるからこそ対立が激化するわけです。
同じことは日本と韓国の対立にも言えそうです。日本と韓国に蓄積されている潜在的な嫌悪感がなければ、両政府がここまでいがみ合うことはありません。結局、両国民の支持が得られないはずです。
このように、外部の工作と仕掛けが成功するためには、ある特定の方向に向かう不満がある国民の感情が爆発しないことには、このような対立軸そのものが成り立たないということです。「火のない所に煙は立たぬ」と言うように、不満があってようやく大火事になるわけです。
当然、火種をつくり、不満というガスを充満させるプロセスにも諜報機関や反政府組織は関与しているのは明らかです。しかし、それには比較的長い時間が必要で、小さな事件を引き起こして憎しみを蓄積させていくことが重要です。
そのためには、何段階も仕掛けていくことが多いために失敗する確率も高く、必ずしも成功するとは限りません。その意味では、不満が溜まっている人々を狙って感情がガスのように充満した状況を作り出すことです。それが2019年であるということです。
|