今、アメリカ国内ではトランプ大統領の支持者とこれに反対するアメリカ民主党との間で激しい対立が続いています。これは、南北戦争直前の状態によく似ていると考えられています。
今度の敵はメディア──マイケル・ムーア『華氏119』の説得力
アメリカ東海岸(ラストベルト)に住む元中間層は、カリフォルニア州のいわゆるシリコンバレーの住民に対して激怒していることがわかります。
アメリカ全体のカリフォルニア州民は約20%ですが、GDPはアメリカ全体の約20%しかありません。このように一人当たりの比率は決して高いわけでもありません。東海岸にもシリコンバレーを真似た産業特区がありますが、あまりうまくいっているようには見えません。
しかし、反トランプの民主党はトランプ政権に反対するばかりで、その後にどのようなアメリカにしたいのかという明確なビジョンがないわけです。このような状態でもし来年2019年にもトランプ大統領を弾劾へと追い込むことになると、最悪な結果が待っているのは明らかです。その理由は、現在のペンス副大統領が大統領になってしまうからです。
ペンス副大統領は、トランプ大統領よりも危険です。キリスト教原理主義の危険な福音派に所属しており、イスラムに対する極端な敵意を持っている特徴があります。これまでの歴史が物語っているように、抑制できない激しい敵意は全て自分に返ってくるわけです。
例えば、第二次世界大戦中でナチスドイツによるホロコーストのトラウマをいまだに抱えるイスラエルは、ホロコーストの経験が元になり、自分以外の一切の他者を信用しません。特に、国内で自分の生存権を主張し、イスラエルに挑戦するパレスチナに対しては、ホロコーストで自分がされたように抑圧してきました。そして、これがイスラエル国内のテロを呼び込んでいます。
ペンス副大統領が大統領になれば、福音派の集合意識がイスラムに対する極端な敵意によって、中東に対して抑圧的な政策が実施されることになりかねません。そして、この政策が原因となり、イスラムから復讐され、再び911のようなテロが起きるということになります。
これはアメリカにとって最悪な状況であり、このような状況と比べるとまだトランプ政権の方はまだマシなように思えてきます。トランプ大統領の弾劾を目標にしている人々は、このような最悪な状況になることを十分に認識すべきであると思います。
私は先月、アメリカ東海岸に4日間滞在し、様々な都市で多くのアメリカ人と話をすることができました。そしてその多くは、トランプ政権の誕生で取り返しのつかないほどアメリカが分裂してしまったと感じているように思いました。
しかし、この分裂は始まったばかりであって、1年後の2020年には分裂から激しい暴力的な対立に発展する可能性があります。それでも東西、そして南北で分裂してしまった人々は数年間は和解することはないでしょう。
なぜなら、1861年から1865年にかけてアメリカ合衆国の北部諸州とアメリカ連合国を称した南部諸州との間で行われた内戦のフラクタルだからです。当時、奴隷制存続を主張するアメリカ南部の州のうち11州が合衆国を脱退し、アメリカ連合国を結成しました。
そして、合衆国にとどまった北部23州との間で戦争となり、約5年間続きました。これと同じように、第二次アメリカ南北戦争は2025年頃にアメリカ国民は精神的に進化し、統合へと向けた歩みを始めるものと思われます。
この過程で統合されるアメリカは、新しく生まれ変わる国となり、混乱の後に出現する新しい精神性の基で形成される国家となるものと考えられます。その国家は、現在のアメリカ合衆国とは異なった精神性の基盤の上に樹立されることになるはずです。
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