日産のカルロス・ゴーン会長の逮捕は、ルノーとの統合や合併を恐れ、業績の悪化を覚悟してでもこの動きを阻止したい日産の経営陣の利害と日本からの自動車輸出を抑制すると同時に、フランスのマクロン政権の弱体化を模索するトランプ政権との利害が一致して起こった事件のように思えてきます。
そもそも誰がゴーン会長の不正を告発し、逮捕までの流れを作ったのでしょうか?日産の内部告発なのか、それとも内部告発から逮捕までの一連の流れから実行した別の勢力がいたのでしょうか?
もしそうであれば、そのような勢力は逮捕を主導した東京地検特捜部(検察)に影響を与える立場にあるということです。これを実証する事実はまだ十分にありませんが、しかしこうした状況の背後にあるもっと重要な背景も見えてきます。
フランスのマクロン大統領は、ゴーン会長にルノーと日産・三菱自動車の統合化を実現することを条件に、フランスの国策会社ルノーのCEOの地位を2022年まで保証することを約束していたとすでに報道されています。
日産の傘下には、軍事転用可能な技術を持つ三菱自動車があります。日産も、長年培ってきた独自のロボット技術とアメリカ航空宇宙局(NASA)との共同開発によって世界最先端の自動運転技術を開発しています。
一方、マクロン大統領がフランスの大統領になってからは、中国が急に歩み寄ってきています。フランス政府も中国の魅力的な市場を取り込もうと、その懐深く入り込もうとしています。ルノーと日産自動車が統合されれば、フランス政府は、中国に日本の自動車会社のハイテク技術を供与するのは明らかです。
中国の安い人件費と日本とNASAの最先端技術が組み合わさった時、アメリカの自動車産業と軍事産業は世界的に後れを取ることになります。今や自動車産業は、中国軍の近代化をさらに進める最先端技術の宝庫になっています。
これが、フランスと中国の合弁事業を通じて中国側に渡ってしまえば、世界は安全保障上の脅威に晒されることになるわけです。しかし、ゴーン会長の逮捕によって阻止されようとしています。
つまり、この事件の本質は単なる自動車会社会長のスキャンダルではなく、日産社員によるクーデターでもなく、アメリカの安全保障に関わる問題であるということが言えそうです。末端であるゴーン会長は、スケープゴートにされたということです。
そして、中国を警戒したトランプ政権が、ルノーを介して日産と三菱自動車の軍事転換が可能な最新テクノロジーが中国に移転するのを阻止したということです。
中国は、中国製造2025計画で製造業大国を目指しています。一方、日産は先端的な自動運転技術を開発しており、三菱自動車のグループ企業である三菱重工は、航空自衛隊の戦闘機を製造しています。
ルノーと日産、そして三菱自動車が統合した場合、ルノーを通じてこうした最新テクノロジーが中国に流れることを阻止するために、トランプ政権がルノー=日産=三菱自動車の統合の動きにストップをかけたということであると私は考えています。
当然、アメリカと欧州、日本のメディアが流す様々な情報を集めていても、まだ仮説にすぎず、今回のゴーン会長の逮捕にはいくつかの次元の異なる目的を一気に実現しようとした印象が感じられます。
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