私自身、アメリカ国籍を保有してはいますが白人ではありません。日本人は有色人種であって白人ではないわけです。
白人ではないことからも、多くの日本人は欧米白人が深刻に抱えている移民や難民の殺到に困り果てている現実を複雑な目で見ているように思うわけです。
それよりも、多くの日本人は日本に来る肌の浅黒い東南アジアの人たちを欧米白人と似たような視線で見つめているように思います。ところが、欧米諸国に行けばその日本人も確実に単なるアジア人として東南アジア人のように扱われるだけでしかありません。
今、アメリカのどの都市に行ってもアフリカ系アメリカ人やヒスパニック系アメリカ人、そしてアラブ人とアジア人しか見なくなりました。白人はもうマイノリティー(少数派)でしかなく、もうこれ以上、欧米諸国には入ってきてほしくないと訴えています。
世界中の欧米白人層の本音は、「もう今以上に移民や難民の面倒を見る余裕がない」、ということであり、その考えが公然とアメリカやヨーロッパ各国でも出てきています。
今回の中間選挙で、トランプ・共和党が下院で敗北した理由として考えられるのは、後半で票が開き始めたニューヨーク州とカリフォルニア州という人口を多く抱えた州が挙げられます。この2つの州は、明らかに反トランプの牙城であり、リベラル派がたくさん住んでいます。
しかし、本当のところはラティーノやチカーノと呼ばれるようなヒスパニック系がたくさん住んでおり、下院議員の候補たちは、白人との混血である場合がよく見られています。これはトランプ大統領による白人優越主義すれすれの本音の気持ちを吐露したことで、共和党の白人候補が負けてしまった可能性があります。
トランプ大統領というのは、どうしても本音を言ってしまう正直者の指導者という性質を持っているように思います。それでも実業家の時は、取引の相手とたくさんのビジネスで人を騙し、相手から不動産資産を奪い取ってきました。
ところが、2016年にアメリカの大統領に選ばれ、本音は絶対に言ってはいけない経営者の姿を失ってしまったのかもしれません。まるで8歳児のような無邪気さで世界の覇権国の大統領を務めています。それが今回の中間選挙での敗因であり、これからも8歳児による正直政治は、多くの失敗をしていくでしょう。
しかし、「アメリカン・デモクラシー(アメリカ的民主主義)」の良さというのは、リンカーンやケネディ大統領のような正直者こそが、自分たちのリーダーという考え方があるようです。だからこそ、今後もドナルド・トランプに従い、一緒に戦うということなのでしょう。
そういう意味では、トランプ大統領は今のアメリカに住む白人たちにとって、待ち焦がれたリーダーなのかもしれません。1980年代のレーガン大統領の再来とも言われていますが、今でも素朴で正直者、立派なアメリカ人からは根強い人気があります。
ただし、正直者だけでは政治は困難を極めることになります。ヒラリー派の政治家に体現されるような凶悪な人たちとの戦いでは、トランプ大統領を支持する有権者たちもさすがに気の弱さが露呈してしまいそうです。つまり、この奇妙さがアメリカ政治であるということです。
一方、私たち日本人は、残念ながら戦後73年もの長い間、一度も立派なリーダーや指導者を持ったことがありません。若者から老人までもが総理大臣を指導者として尊敬していません。このことが日本の最大の弱点であり、特に若者たちが自分の人生を切り開くことにとても苦労しています。
老人たちも、人生の経験を積んでいることから、これまで仕方なく自民党と公明党を与党として選挙で選んできたわけですが、自公の政治家が日本の本当リーダーになることは今後もありません。それでも世の中は進んでいくしかないということです。
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