米中対立、報道でも再燃 中国人記者のビザ更新で
(出典:2020年8月5日 日本経済新聞)
アメリカと中国による軍事衝突の可能性についてですが、米中の対立は緩和するどころか、激しさを増しつつあります。
トランプ政権は、アメリカ国内に駐在している中国人記者のビザを3か月ごとに更新することを要求しています。これまで記者のビザは、一回取得すると更新する必要がなかったわけですが、更新を要求することは今後、中国人記者の入国をアメリカが拒否する可能性があるということです。
一方、中国共産党の機関紙「環球時報」は、アメリカ駐在中の中国人記者が全員国外退去を強いられた場合、中国は香港に駐在中のアメリカ人記者を標的にすることも含めて対抗措置を講じるとの見方を示しています。
Microsoft、なぜTikTok買収? クラウド・広告に期待
(出典:2020年8月6日 日本経済新聞)
米中の領事館閉鎖の後、今度は米中のジャーナリストたちの追放が起きる可能性が出てきました。また、トランプ政権は中国資本の動画投稿アプリ「TikTok」の使用をアメリカ国内で全面的に禁止する方針を打ち出しています。
現在、マイクロソフトが「TikTok」の買収を進めており、トランプ政権は9月15日までに買収されなければアメリカ国内の活動を禁止すると述べています。
TikTok Japanティックトック | 日本が大好きI Love Tik Tock Japan #47
(出典:2020年6月27日 Youtube:Tik Tok Global Videos)
TikTokというのは、若い人たちの間で流行している動画サイト(アプリ)のことですが、それに1000億ドル(役10兆円)の時価総額で評価されているようです。それをマイクロソフトやツイッターが買収するという話です。
中国人や韓国人、そして日本人の学生やアニメコスプレ、キャバ嬢のような若い女性たちがひたすら踊っているショート動画を見せられるだけで、長く動画を観ているうちに普通の人は頭がおかしくなると思います。つまり、依存症に陥るところがポイントであると思われます。
いずれにしても、トランプ政権が仕掛けた中国への圧力による米中対立は一層激化しており、このままでは本当に予期しない米中の軍事衝突の可能性を否定できなくなりつつある、と報じるメディアも出てきました。
しかし、トランプ政権による中国への圧力は、中国との軍事衝突を感じさせる政策ばかりではなく、背景にはアメリカが48年も続けてきた中国との「融和策」を捨て、いよいよ「対決策」へとシフトした外交政策の転換であることは明らかです。
実は、この方針転換は10年以上の時間をかけて中国の国際的な影響力を抑え込むという長期計画であり、トランプ政権が進めている対中強行姿勢の直接的な動機になっているわけではありません。軍事衝突を感じさせるほど圧力を加える理由は、11月に迫ったアメリカ大統領選挙です。
米大統領選まで3か月世論調査ではバイデン前副大統領がリード
(出典:2020年8月3日 NHK NEWS WEB)
実際に、新型コロナウイルスの対応に失敗したことや、国内経済の大幅な落ち込みなどによって、トランプ大統領とバイデン候補の支持率は大きく開きつつあります。8月5日時点で、バイデン候補の支持率は49.4%であるのに対し、トランプ大統領は42.1%と7%以上も差が開いています。
2016年のアメリカ大統領選挙では、8月時点でヒラリー・クリントン候補のリードは3.2%でしたが、バイデンとの差はこれよりも大きくなっています。結局、ドナルド・トランプが予想外にヒラリーを逆転しています。
アメリカ大統領選挙で日本と異なるのが、各州に割り振られた「選挙人の獲得数」で決まるということです。今の段階でバイデン候補の獲得が確実、もしくはバイデン候補寄りに傾いている選挙人は297人で、トランプ大統領は170人しかいないのが現状です。
勝者はどうやって決まるの? 注目される激戦州はどこ?
(出典:2020年7月17日 朝日新聞)
大統領に当選するためには、最低でも270人を獲得しなければなりませんが、今の時点でこれだけ差が開いているのであれば、普通に考えてトランプ大統領の再選はありません。
前回の大統領選挙でドナルド・トランプは、ミシガン州やペンシルバニア州などいわゆる「ラストベルト」と呼ばれる中東部の州で圧勝し、これが大統領選勝利の決め手となりました。ところが、今回は「ラストベルト」の州でバイデン候補が圧倒的に優勢となっています。
それでも、私は11月までにトランプ大統領が巻き返すような動きを見せていくと考えています。今の時点ではトランプ大統領に勝ち目はありませんが、4年前のサプライズを考えると、これから挽回するほどのウルトラC級のイベントが行われることになります。
だからこそ、トランプ大統領は中国への強硬姿勢を次々と打ち出しているわけです。実際に、中国に対立するほどトランプ大統領の支持率は少しずつアップしています。アメリカでは、これまでにないほど中国に対する反発が強まっています。
まず、新型コロナウイルスが中国の責任であると信じて疑わないアメリカ国民が多く、ある調査では73%が中国に否定的な感情を持ち、中国に肯定的な感情の国民はわずか22%と言われています。
トランプ政権が、中国への強硬な姿勢を本格的に示し始めたのは7月中旬頃ですが、それ以来トランプ大統領の支持率は上昇しています。約1ヵ月で2%も支持率が上昇したということは、中国批判をすればするほど支持率は上昇するということです。
2か月半前に迫った大統領選挙前に追い詰められたトランプ大統領は、中国批判によって何とか支持率を回復させようとしています。その意味では、9月にアメリカが中国へ何らかの軍事的攻撃を行う可能性もゼロではないと考えられます。
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