米国株式市場=大幅安、ダウ1000ドル超の下げ FRB議長講演受け
(出典:2022年8月27日 Reuters)
アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、8月26日(金曜日)にワイオミング州ジャクソンホールで年に一度の金融政策の課題を話し合うシンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演を行いました。
記録的なインフレを抑え込むための金融引き締めについて、「やり遂げるまでやり続けなければならない…」と述べて、「利上げ」を継続する姿勢を鮮明にしました。つまり、物価高を抑えるためにさらに政策金利を上げる方針に変わりはないと発言したわけです。
株価 一時800円超値下がり FRB議長講演受け景気冷え込むと警戒
(出典:2022年8月29日 NHK NEWS WEB*)
その発言が、世界中の投資家の間で嫌われ、ニューヨーク平均株価が1日で1000ドル以上も暴落しました。その後、29日(月曜日)になって日本の日経平均株価も一時、800円も暴落しました。
パウエル議長は、積極的に金融引き締め策を発表したことで、現在2.5%の政策金利をさらに上げる姿勢を示したことで金融市場の未来が絶望的であることを世界中の人々が認識するようになりました。
9月以降、株式市場が落ち着かない展開になるのは確実で、下手をすれば2008年のリーマンショックのような大暴落相場にまで陥る可能性もあります。とにかくアメリカ市場で異変が起きれば、日本にも影響があることはわかりました。
FRBは、スーパーなどで食料品の価格が高騰し、ガソリンスタンドではガソリンの価格が下がらないことからインフレ対策を実施すると考えていません。問題は、アメリカの中間層(年収10万ドル程度)のアメリカ人が不動産や土地を売買していることです。
米住宅ローン金利が6.2%突破、金融危機以来の高い水準に
(出典:2022年6月16日 Yahooニュース)
アメリカの住宅価格は、これまで異常な不動産バブルで価格が上がる一方です。コロナ後も、「ウッド・ショック」などで建設費が高騰したり、住宅ローンが6%を超えてローン破綻する人々が大勢出てきました。
だから、FRBは利上げと金融引き締め(国債=紙幣発行の停止)で、何とかして不動産バブルの崩壊を最小限に食い止めようとしています。要するに、アメリカは不動産中心の経済システムであるということです。
2020年3月頃に始まった新型コロナのパンデミックによって、バイデン政権は巨額の失業給付金をバラまきました。そのためには金融緩和(国債=紙幣の大量発行)を続けるしかなく、インフレ率を計画的に上げていったのは明らかです。
5月に金本位制を導入したロシアとは異なり、担保がないまま米ドル紙幣を印刷し続けているアメリカは、どうしても金融緩和というモルヒネ投与を止められなくなっています。体の痛みが激しくなっても、できるだけ投与したくないという苦悩が見えてきます。
住宅ローン、変動型一段と 借り換え需要の獲得激しく メガ3行で8割超、固定と金利差
(出典:2022年8月29日 日本経済新聞)
それに対して、日本では新築のタワーマンションを中国人が次々と買い求めている現状があります。1ドル130円台の円安で、世界中の投資家たちが物件を見もせずに買い付ける光景は異常です。
東京では7000万円もするタワーマンション(80平方メートル)ですが、札幌でも商業施設に組み込んだ高層マンションが建設中です。一戸建て(4LDK)でさえ4000万円近くしますが、若い人たちが住宅ローンを組んで買っています。
中国人の場合、決して住むための物件ではなく、高値で転売するために買いに来ています。地元の日本人を差し置いて、続々とチャイナマネーが振り込まれるのは日本が不景気だからです。
今後、金利上昇を含めて住宅ローン返済問題が起きるように思います。このように、私たち日本人の苦悩は続き、これからどのようになっていくのか分析する必要があります。
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