年金制度改革法案を強行採決──65歳支給のままなら「将来の年金は4割カット」
今から2年前の2016年11月25日、政府与党は年金制度改革法案を衆院で強行採決しました。改革は年金給付額を強引にカットしていくという内容であったわけです。
年金制度改革法案を強行採決したことで、65歳支給のままなら将来の年金は4割カットになることが明らかになっています。政府は2014年にも70歳支給にしようとして国民の猛反発を買い、断念した経緯がありました。
今年度の年金支給額をみると、例えば平均的給与で40年間勤務したサラリーマンの夫と専業主婦の夫婦の場合、2人で月額22万1504円の厚生年金がもらえる計算になります。4割カットということは、夫婦で月額約13万円で暮らせる生活を考えておく必要があります。
2000年頃から、必ずしも年金があてにならないことはうすうす気づいていた方は多くいましたが、こうして具体的な金額を突きつけられると大変なことになることで、政府や政治家に対して怒りが湧き上がってくる方もおられると思います。
一方、自営業者の場合、40年間支払ったとしても支給される国民年金は1人月額6万5008円しかないため、よりダメージは大きくなるはずです。それよりも、マスメディアによる報道は高齢者の年金を支払うために若者が犠牲になるというネガティブな構造を強調し、対立関係を演出することによって本質から目を逸らそうとする意図を強く感じさせます。
日本国民の財産である年金資金というのは、実は政府が自由に使えるというのが真相です。具体的には、一般外収支として扱われており、国会では一般会計の予算の時のように審議することもなく、報告義務も当然ありません。
2019年という新しい年を迎えましたが、1月9日に公務員の定年を60歳から65歳まで延長し、賃金は60歳当時の俸給額の7割カットするという公務員関連法案が改正されることが報道されています。60歳未満の公務員についても俸給の賃金を抑制する方針が盛り込まれています。
結局、あの「消えた年金記録問題」とは一体なんだったのか?
2007年、日本中に衝撃が走った5000万件の消えた年金記録事件当時、安倍首相は「1年を期限に紛失した最後の1人までお支払いする」と言いながら、約束の期限前日に総理大臣を辞任しました。
つまり、総理大臣を辞任したから約束を守る義務はないというわけです。同時に、この5000万件の年金記録紛失疑獄事件を解明しないまま棚上げされており、年金制度改革法案を強行採決する時に当時の野党であった民主党もこの事実を追究することはありませんでした。
実際に、政治家や官僚、大企業、司法、マスメディアでさえコントロール下に置いている、巨大な権力者の影が見え隠れしています。つまり、欧米の国際金融資本と日本の財務省が結託し、日本国民の財産である年金を勝手に使えるようにしてしまったことになります。
そのような状況の中では、日本の総理大臣や財務大臣でさえ何も言えなくなってしまいます。日本政府の一般会計の債務は表向きでは1210兆円とされていますが、特別会計の債務が入っていません。これは、財務省のホ―ムペ―ジを詳細に調べるとわかることです。
ここまで来ると、年金が支給されるかどうかという問題ではなく、預金封鎖や資産課税を心配する段階に入っていることに気づくことが重要となってきます。実質的には、日本は経済破産に近い状態にあります。
ところが、今でもテレビや新聞などで語っている経済学者やエコノミスト、評論家は、表向きの数字だけを元にして議論しているだけです。いよいよ2020年4月の予算委員会までは残り1年と3ヶ月となりました。
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