ハイパーインフレで「地獄」と化したベネズエラ、そのヤバすぎる現実
ベネズエラやアルゼンチンの経済で起こっていることを、マスメディアは「ハイパーインフレ」と呼んでいます。ところが、両国ともGDPが増えたわけではありません。
それでも、ハイパーインフレになっているのは、国際会計基準が定めた「3年間で累積100%以上の物価上昇」という定義をマスメディアがそのまま信じているからです。世界のほとんどの経済学者は、このハイパーインフレの定義でそのまま議論しているので、私たち庶民を経済危機から守ることはできません。
一般的に、ハイパーインフレとは「短期間での物価上昇」と説明されていますが、物価について的確に答えることができる経済学者がほとんどいないことが明らかになっています。結局、物価は使用している通貨が決めることであって、その通貨が使われなくなるとハイパーインフレと同じ現象が起きることが分かっています。
要するに、昨日まで1個100円で買うことができたコンビニのカップラーメン1個が、数日後には200円、数ヵ月後には1000円を支払わなければ買えなくなる、という現象のことです。おにぎりの価値は何も変わっていないに、価格だけが数十倍になることををハイパーインフレと言います。
例えば、備蓄用のカップラーメン1個を自宅にストックしている人が友人のリンゴ1個と交換しようと考えた時、リンゴ1個の価値もほとんど変わっていないので、カップラーメンと等価で交換することができます。
なぜカップラーメンとリンゴの価値がほとんど変わらないのかと言えば、作物を栽培している農家や、エンジンの付いていない船で漁に出て魚を獲ってくる漁師は、都市生活者のように通貨価値の変動の影響を受けにくいからです。
当然、化学肥料で作物を栽培している大規模な農家や、高性能エンジンが付いた船で魚を獲る漁師は通貨の変動の影響を受けるので、都市生活者とほとんど変わりません。しかし、お腹がすくのはカップラーメンもリンゴも持ってない人です。
「絶対そのような状況に陥ることはない」と思い込んでいる人々は、2018年9月6日に発生した北海道胆振地震によって大停電した時のことを思い出す必要がありそうです。
最近、私は80年前に戦争を体験したお爺さんやお婆さんたちから、当時の話を詳しく聞ける機会を与えられました。
その中で、「日本の敗戦が色濃くなってきた1944年、政府の食料配給が滞ってきたので、嫁入り道具の高価な着物や銀製の食器を持って農家を訪れ、コメと野菜と交換してもらって飢えを凌いだ…」と語ってくれたお婆さんがいました。
「欲しがりません、勝つまでは…」の有名な標語で知られる戦時国債が、戦中でもすでに紙切れ同然であることを知っていた農家の人が欲しがったのは、農家では手に入らない高価な生地であり、戦後は資産になりそうな金・銀製品であったわけです。
「欲しがりません勝つまでは」11歳少女の最も有名な標語の真実
食料生産に従事している農家の人たちは、戦時国債が、もはや落書きにも使えない紙クズであることをよく知っていました。つまり、どんな時代でも、物々交換こそが「ハイパーインフレ」を乗り越える唯一の方法であるということです。
金地金(ゴールド)や銀地金(シルバー)もコモディティー(商品)に過ぎないモノではありますが、紙幣と同じように持ち運びに便利で、多くのモノと等価で交換できる機能を持っています。
だからこそ、西洋人は古くから金(ゴールド)を「正貨」と呼び、唯一の本物の通貨と呼んできたわけです。そして、紙幣のようなお金のことを「労働者の通貨」と呼んでいたことが分かっています。
一方、問題は74年前の敗戦によって、当時、世界で最も苦しめられたはずの日本人が、70年以上にも及ぶ戦後の洗脳教育によって本当の価値を忘れてしまったことです。
現在のような物質中心の時代では、通貨(マネー)によって値決めされることで成り立っている消費経済は、いつの時代も崩壊する運命にありました。そして今、そのことが再び起こり始めています。
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