5月から何度も繰り返し報道されてきた「米中貿易戦争」ですが、さすがに世界各国の政治家たちや報道関係者も若干疲れを見せ始めているように見えます。
最初にそれを仕掛けたトランプ大統領自身も疲れていると思われますが、6月28日・29日に大阪で開催されたG20サミット会議の中国の習近平主席との首脳会議で妥協点を見出し、一時休戦としました。
私自身、令和が始まった5月1日からトランプ大統領を中心とした世界政治の動きに疲れており、トランプ政権による外交政策のほとんどは失敗であり、ベネズエラでのクーデター失敗の後、ホルムズ海峡に米軍空母を派遣し、それで日本のタンカーが攻撃されたわけです。
つまり、中東全体をイラン戦争で緊張させることよりも、1バレル50ドルを下回っていた原油価格を吊り上げたかっただけであることが判明したということです。実際に、そうしなければジャンク債で、シェールオイルを開発している国内市場が崩壊してしまう恐れがあるからです。
結果としてわかったことは、株式市場よりも先に債券市場が暴落するタイミングが6月中旬にあったわけです。トランプ大統領は、ニューヨーク・ダウ市場の株価さえ政治力によって高値を維持しておけば、退職したアメリカ国民の多くが年金暮らし層であることから、その支持率を維持できることを知っています。
それが、トランプ政権が支持される秘訣となっています。しかし、今やトランプ大統領を説得し、冷静にさせることができる人がいないように思います。あのヘンリー・キッシンジャー博士さえ、最近はメディアには登場しなくなっています。
トランプ大統領は、ワガママな子どものようであり、独裁者のように世界中を振り回しているだけです。それでも、アメリカ国内では強固な支持層以外にも景気が良いのなら認める、というような多数派のアメリカ国民もいます。
実際に、トランプ大統領が5月末に来日して以来、日本国民に向かって謙虚そうに徹していたからか、上手に演出したことでこれまで不安視していた多くの日本人を取り込むことに成功したものと思われます。明らかに日本のメディアもトランプ対統領に対してのネガティブな報道は減っています。
ところが、ドナルド・トランプという人は、これまで以上に失敗を繰り返し、窮地に追い詰められることになることが予測できます。近い将来、せっかちで決して思慮深いわけではないトランプ大統領は、じっくりと待てないために大きな敗北を味わうことになるものと思われます。
なぜかと言えば、「対中国」や「対イラン」のような外交政策は2020年11月の大統領選挙前に行うべきであって、まだ1年半もある現在に世界中を不安にさせる必要などないからです。それを1年も前倒ししているわけですから、混乱を起こすのが少し早すぎるということです。
トランプ大統領の再選はすでに確実と予測されますが、2021年に入った瞬間からいよいよ金融危機が引き起こされ、北朝鮮やイランの核問題も再び現れ始め、いよいよ世界的な変動に突入していくと思います。
いずれにしても、トランプ大統領自身は、再選されたのだからこれまで以上に好きなようにやるのは明らかです。どんなに苦しいことがあっても残りの4年間を必死になって乗り超えようとするはずです。
そして、2024年の任期最終年に77歳(喜寿)の誕生日を迎えた時、見事に勇退する中、覇権国としてのアメリカは終焉を迎え、まずは日本の令和大恐慌から始まり、その後は世界大恐慌に突入することになりそうです。
しかし、トランプ大統領は決してシナリオ通りに行わず、前倒しをしているからこそ失敗の原因があるわけです。今や独裁者になりきったトランプ大統領に、どこまでその自覚があるのかさえわからなくなりつつあります。
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