日中の通貨安誘導を批判 関税引き上げ示唆―トランプ米大統領
 (出典:2025年3月4日 時事通信)
先日、トランプ大統領はホワイトハウスで行った記者会見で、日本が通貨安(円安ドル高)を誘導していると批判し、アメリカにとって不公正な貿易条件を是正する必要がある、と述べました。
「日本は通貨安政策取っていない」-トランプ氏の発言で閣僚から反論
 (出典:2025年3月4日 Bloomberg)
そして、もし円高にしなければ日本の輸入品に関税に追加関税を課す可能性がある、と示唆したわけです。それに対して、加藤財務大臣は相は「日本は通貨安政策を取っていない…」との認識を示しました。
つまり、トランプがやりたいことは外国に巨額の関税を課した分を、アメリカ国民の所得税を下げるために使うということです。ほとんどの場合、輸入業者が税関や国境警備局(CBP)に関税を支払うことになっています。
私自身、日米間でコンテナ船を使ったある商品の輸出入を扱っていたことがありました。毎回、CBPからの請求書に金額と振込先が書かれていたので確認し、アメリカ国内の銀行で支払っていました。
ここに目を付けたトランプ政権は、アメリカ国民から所属税を絞り取るのではなく、外国から関税を搾り取って政府を運営していくことに切り換えました。だから、所得税を管轄するIRS(国税庁)を縮小し、新たなに関税庁(ERS)を設立しました。
日本がなぜ30年以上も景気低迷が続いているのかは一目瞭然で、1989年に消費税を導入してから経済が悪化したのは明らかです。しかし、トランプは所得税減税で国内消費が活性化し、景気を良くすることにしました。
関税こだわるトランプ大統領とかつての“タリフマン=関税男”
 (出典:2025年2月1日 NHK NEWS WEB)
トランプ政権は、3月4日からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税をかけ、さらに中国からの輸入品に10%の追加関税をかけ始めました。日本からの輸入品は2.5%ですが、円高ドル安に誘導しなければこれから大幅に上げる可能性があります。
実は、トランプは第25代大統領のウィリアム・マッキンリー(共和党)の関税政策を参考にしており、1890年の関税は50%、そして1913年まで25%の関税がかけられていたことを復活させています。当時のアメリカは農業国であり、工業化を目指していました。
今のアメリカも、工場が中国などに移転したことで製造業が弱体化しています。だから、トランプは外国に生産拠点を移転したアメリカ企業を、第一次トランプ政権時に呼び戻す政策を行いました。
歴史を振り返ってみると、アメリカ国内で経済格差が出始めたのが1913年からです。この年、第28代大統領のウッドロー・ウィルソン(民主党)は、所得税を導入し、中央銀行のFRB(連邦準備制度理事会)を創設しました。
要するに、それまでアメリカには所得税というものが存在せず、外国からの輸入品に高い関税をかけた収入(歳入)で政府が運営されていたわけです。トランプは、アメリカを135年前に戻そうとしているのがわかります。
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 (出典:2025年3月4日 Yahooニュース)
その結果、所得税を管轄するIRSを縮小し、ERSの傘下に入ることは当たり前のことです。結局、景気を上昇させるには減税するしかないということです。増税しかしない自民党政権では、日本国民は干上がってしまいます。
ただし、輸入品に25%の関税をかけると物価が高騰し、再びインフレ率が上がってしまいます。ところが、この分をシェールガス・オイルの大量掘削でエネルギーコストを引き下げ、解決しようとしています。
それよりも大事なことが、アメリカ企業の工場を国債に戻すことであり、雇用が増えることで景気を回復させることです。本当にアメリカを羨ましく思いますが、もはや日本の自民党や省庁、大企業、自治体の存在意義は完全に失われてしまいました。
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