ソ連崩壊30年=回答・五十嵐朋子
(出典:2021年11月7日 毎日新聞)
前回の続きですが、世界支配層が計画していたことは、まず資本主義で商品を作り続けて売れるようになれば資本家階級が権力を持つようになることです。
一方、20世紀初めの労働者階級は子どもをたくさん生む傾向が高く、家計が苦しくなってくると労働力として提供するしかなくなるわけです。当然、労働者階級は不満を持ち始め、ロシア革命のような労働運動を起こすことになりました。
実際に、社会主義国家となったロシア(旧ソ連)のような社会では、最初だけ優秀な官僚が実務を行うことで生産力が上がりました。ところが、徐々に汚職がはびこって人々が働かなくなり、1991年にソ連邦は崩壊しました。
現在、コロナの恐怖からワクチンパスポートが導入されつつあり、それがベーシックインカムの導入につながっていくような流れが起きています。つまり、計画経済によって効率を追求するようになれば、日本でも共産主義化していくのは間違いありません。
コロナ収束の兆しで増える大手企業の“黒字リストラ” 逆ピラミッド型の年齢構成改善が急務
(出典:2021年10月28日 Yahooニュース*)
共産主義の理想というのは、働きたいだけ働き、稼ぎたいだけ稼ぐことができる社会のことです。実際に、これが現実になろうとしています。なぜかと言えば、私たち人間がこれまでやってきたことを代わりにAI(人工知能)がやるようになるからです。
結局、一部を除いた人間ができることは決定することです。さらに、付加価値をつけることもできますが、それ以外はAIができるようになると思います。AIといっても、アルゴリズムが高度化しただけのことです。
機械が自分で考えるようになるには、数百年かかると思われます。いずれにしても、現在の私たちは時間を売ることが労働となっています。特に、サラリーマン(会社員・公務員など)はその典型ですが、テレワークの次はいよいよ必要とされない日が迫っています。
今後、技術力がさらに高まってくると、「AIもどき」がこれまで人間が行ってきたことを代わりにやるようになります。現実として、数百万人の銀行員がすでにリストラされ、大企業でも大規模な早期退職希望者を募集しています。
「グレート・リセット」の時
(出典:2020年6月3日 WORLD ECONOMIC FORUM*)
いずれにしても、自然再生エネルギーどころか、電気代が無料のフリーエネルギーが日常的に疲れるようになるとモノの値段が極端に下がるようになります。物価を決めているのは太陽光発電であり、モノの値段が下がると私たちはベーシック・インカムで暮らすようになります。
だから、コロナ対策の様々な給付金はその検証実験であり、やがて預金や不動産、株価、債券などの資産価値がゼロになり、いわゆる金持ちがいなくなることになります。希少価値の高い金(ゴールド)や銀(シルバー)の貴金属も、デジタル法定通貨になれば価値を失いかねません。
これこそ、世界経済フォーラム(ダボス会議)が提唱している「所有」という概念の破壊です。全てがレンタル化され、自由が失われるのと引き換えに仕事をする必要がなくなるというわけです。
ただし、生き甲斐を感じるために仕事をするには、逆にお金を払って働くようになるということです。意味のある労働というのは、それぞれ人や会社の価値観によって異なっていますが、暇すぎて耐えられなくなるかもしれません。
このような価値観が、ウイルスの蔓延と同時に世界中に広がり始めています。アメリカでは、インフレを起こしたのはバイデン政権であるとの認識が広まっており、逆に低迷していたトランプへの支持が回復し始めました。
インフレの原因「供給」ではなく「需要ショック」
(出典:2021年10月29日 東洋経済ONLINE)
インフレの原因が全てバイデン政権による200兆円もの給付金であるとは言えませんが、今でもカリフォルニア州の沖合には多くのコンテナ船が停泊しており、流通が滞っているのは明らかです。そして、その原因の一つに深刻な労働力不足があります。
アメリカのGDP(経済成長率)は、コロナ前の2020年2月より増えていますが、約700万人の労働者が減少しています。コロナから復興したとはいえ、実体経済は疲弊しているのがわかります。
賃金は上昇し、求人数は多いですが、人々は仕事をしたいと思っていません。働かないことを選んだ人たちの中で、50代以上は退職金と年金だけで暮らしているケースが目立っています。
それに対して、40代以下の若い人たちは株式や暗号通貨の投資やSNSを使ったオンラインビジネスを始めています。また、都市郊外に住んでいる人たちも家庭菜園でオーガニック野菜やと果物を栽培し、希望者に郵送して生活しています。
これまで嫌々仕事してきた人たちの間で、会社で働かないという無言の抵抗が続いています。元の職場に戻ることを拒否し、家族と過ごす時間をできるだけ増やすというライフスタイルは、今後そのような結末を迎えるかはわかりません。
資本主義という、労働と資本の関係を変える確実な転換点となる可能性は高く、日本でも皇室が東京から京都へ移る準備をしています。首都直下型地震から避ける意味もありますが、経済の中心地も関西に移りつつあります。
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