米中戦争は可能性70%以上、しかも米国劣勢と予想する理由
(出典:2017年2月24日 DIAMOND Online)
これまでアメリカは、中国の第一列島線の領海化を阻止するため、中国とは1960年代から潜在的に対立する関係にありました。
しかし、1970年には冷戦中であったソ連に対抗するために、中国と国交を結んだニクソン政権から中国を世界の工場にしてグローバル化を始めたわけです。
自由貿易のルールを世界各国に押し付け、世界経済の牽引力として中国を利用しようとしたクリントン政権やブッシュ政権、さらにオバマ政権までは、第一列島線を領海化するという中国の主張に大して比較的寛容であったように思います。
実際に、中国は2008年頃まで自国の国益について主張を抑制していましたが、アメリカは中国も経済発展することで自然と民主化が始まり、日本や韓国、そして「台湾のような民主主義国家となるはず…」、という強い期待感があったと思います。
2016年までのオバマ政権は、「アジア重視外交」を行っていましたが、尖閣諸島の領有権問題では中立的な姿勢を維持し、積極的な介入を回避していました。また、グローバル化で米中ともに経済的なパートナーとなったことも、オバマ大統領が消極性にならざるを得なかったわけです。
一方、中国はオバマ政権までのこうした消極的な姿勢を逆手に取り、南シナ海での自国の排他的領海を主張し、ベトナムやフィリピンなどASEAN諸国の排除を始めました。この時、中国は本格的に第一列島線の領海化を強く主張し始めました。
たとえ政権が変わっても米国の中国敵視、後戻りせず
(出典:2020年8月25日 JB press)
こうした状況に直面し、経済的な利益を犠牲にしても中国と軍事力で対峙し、第一列島線の領海化の阻止に舵を切ったのが、「アメリカ・ファースト」を合言葉にする自国第一国主義者のトランプ大統領です。
トランプ政権は、高い関税をかける貿易戦争を中国に仕掛け、中国の進出を軍事力で抑制することを明確にしました。50年以上続いたアメリカによる対中国政策は、緩和策から強硬策へ変更されました。
この政策変更によって、米中戦争は誰の目にも明らかになり、中国が妥協しなければアメリカは南シナ海での中国の進出を抑制するために、強力な軍事力の使用も可能性としてあり得る状況になりつつあります。
このような状況の中、米中双方の総領事館閉鎖やポンペオ国務長官の中国共産党批判などの発言が相次いだことで、世界中で米中戦争の懸念が高まっていました。ところが、「第一段階合意協議」で緊張が少し緩和されています。
「米中新冷戦」はあり得ない?実は対米関係に慎重な中国の習政権
(出典:2020年9月2日 Yahooニュース)
CIAが主な顧客の「ストラトフォー」などの国際情勢が専門のシンクタンクや、大手新聞社のブルームバーグやウォールストリート・ジャーナル、さらにトランプ政権の高官たちの文書などから、米中戦争の可能性を冷静に分析する論文や報道記事が増えてきました。
それらの報道記事や論文の結論は一致しており、現時点で米中戦争など「起きることはない」という判断が下されています。もし、偶発的な軍事衝突が南シナ海で発生した場合、米中両政府はすぐにでも外交交渉を行うはずです。
「中国艦隊、第3列島線に接近」ハワイ沖で訓練 台湾・国防部
(出典:2020年9月3日 産経新聞)
ペンス副大統領やポンぺオ国務長官のような、筋金入りの反共産主義者が中国との戦争を望んだとしても、現時点ではアメリカが中国との戦争で勝利する見込みは全くありません。
その理由は、アメリカの空母機動部隊に軍医的な弱点が見つかったからです。実際に、世界に例を見ない巨大空母は、移動可能な航空基地として部隊の駆逐艦が搭載するミサイルによって相手国の軍事基地を壊滅させるほどの攻撃能力があります。
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