日米首脳会談 経済分野も「脱中国」 5Gなどで協力拡大へ
(出典:2021年4月17日 Yahooニュース)
4月16日、アメリカのバイデン大統領は1月20日に就任以降、政権発足後初めての外国首脳として日本の菅首相をホワイトハウスに招き、対面による日米首脳会談が開催されました。
会談では、中国軍による東シナ・南シナ海での抑止を行うことで一致し、インド太平洋の平和実現に向け、日米やASEAN諸国と連携を強化していくと発表されました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性についても確認されています。
一方、中国政府は日米首脳会談の共同声明が台湾問題に触れたことで反発し、中国外務省は「あらゆる必要な措置を取る」と発表しています。さらに、環球時報は、「中国を封じ込めるアメリカの戦略に日本が加わり、日中関係の改善は勢いを失った」とする社説を発表しました。
そして、今回の首脳会談で重要なことは、安全性の高い5Gネットワークの推進や半導体などのサプライチェーンの構築をお互いに協力しながら拡大していくなど、日本からの協力を取り付けたことなどがありました。
レアアース確保、なぜ日米豪印が連携?
(出典:2021年3月12日 日本経済新聞)
バイデン政権は、安全保障や経済分野で対立する中国を警戒し、安全保障上で重要な軍事転用可能なITや工業製品のサプライチェーンを中国から依存しないことを目標としています。具体的には、アメリカと日本、インド、オーストラリアで連携を強化し、中国の政治的・経済的な拡大を抑止する戦略があります。
バイデン政権による中国への依存をやめることを目標にしたサプライチェーンの構築には、パソコンに必要な「半導体」やスマホに必要な「レアアース」、そしてEV(電気自動車)に必要な「リチウムイオン電池」などがあります。
対中依存度が急増する日本に米中の踏み絵は踏めるか
(出典:2021年4月23日 Yahooニュース)
現在、日本は輸入の約27%を中国に依存しており、これから中国以外から部品を調達することはコストを引き上げることになります。しかし、バイデン政権としては安全保障上で必要なことであり、日本に協力してもらう必要があるというわけです。
現在、アメリカは「半導体」を台湾、韓国、中国、そして日本の順番で輸入しています。このままでは、10年後に中国への依存を増やすしかないが現状です。また、「レアアース」や「リチウムイオン電池」は中国から約80%を依存しています。
この3つの製品はアメリカにとって、第4次産業革命を行うには欠かせなく、5Gネットワークによって自動運転技術を開発したり、電気自動車を開発するのに必要不可欠ですが、同時に軍事産業にも使われています。
実際に、レアアースなどの原材料が中国国内で大量に採掘されている中、アメリカはさらに中国が軍事的に発展することを大きな脅威と考えています。なぜかと言えば、スマホの部品だけでなく、LED電球や風力発電、そしてプラズマや液晶ディスプレイなどにも必要だからです。
その他、ハイブリッド車や電気自動車で使われる部品や、触媒コンバーター、ミサイル誘導システムなど最先端の軍事兵器にも使われています。実は、中国の埋蔵量は世界一ですが、製品化する技術も高いとされています。
焦点:EV向け資源開発に自然破壊の懸念、温暖化対策の足かせにも
(出典:2021年3月5日 Reuters)
鉱物であるレアアースは、金や銀、ニッケルのようにまず不要物を取り除く作業があります。ある程度の高度な精製技術が必要ですが、放射性物質を含んでいるレアアースには有毒物質が含まれています。
つまり、ガソリンを使わないので地球環境に優しいとされている電気自動車ですが、この精製作業時にすでに地球環境を悪化させており、一部ではガソリン車よりも環境破壊を進めているという指摘があります。
なぜ先進国のアメリカが、国内にレアアースを保有しているのに産出しないかと言えば、環境規制によってレアアースから出る有毒物質を抑えきれないからです。現在、国内では精製ができないばかりでなく、生産量が規制されています。
中国には、環境規制がないのでレアアースの生産が活発ですが、先進国が手を付けられない間に精製技術がさらに上がり、国策として支援もあったので世界最先端の技術を持つに至っています。
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