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ベネズエラは、シリアのように内戦状態になる可能性

ベネズエラのマドゥロ大統領と握手をするロシアのプーチン大統領
ベネズエラのマドゥロ大統領と握手をするロシアのプーチン大統領 Image from https://cryptonomist.ch

ベネズエラで進行している凄まじい覇権争いが続いていますが、シリアのように今度はベネズエラがアメリカとロシア・中国の覇権争いの舞台になる可能性が高まっています。

 

いつものように、日本のマスメディアは全く報道していませんが、トランプ政権はベネズエラ国民に支援物資を届けるため、隣国コロンビアに初めて軍用機を送りました。支援物資には、石けんや歯ブラシ、栄養食品が含まれていると報道されています。

 

暫定大統領就任を宣言した野党指導者フアン・グアイド国会議長は、アメリカによる人道支援物資搬入を手伝うために数十万人規模のボランティアを来週動員すると発表し、すでに80万人を越えるボランティアが集まっているようです。

 

一方、トランプ大統領は、ベネズエラのマドゥロ大統領を依然として支持する軍の関係者に対し、自身の将来や命を危険にさらしていると警告し、人道支援物資を受け入れるよう求めています。

 

トランプ大統領は、ベネズエラやキューバからの移民を前に演説し、ベネズエラ軍に対しマドゥロ大統領を支持し続ければ「避難先を見つけられなくなくなり、国から抜け出すこともできなくなり、全てを失う」と警告しています。

 

トランプ政権は、約5,000名規模の米軍をコロンビアに展開する用意があるとも語っています。このように、今ベネズエラでは、軍の支持があるマドゥロ政権と退陣を迫るトランプ政権が対立し、武力衝突も否定できない一触即発の危険な状態になりつつあるということです。

 

私が分析した中で、トランプ政権がベネズエラへの関与を深める理由として、カリブ海のベネズエラ領に建設計画があるロシア軍基地の建設阻止と、中南米に進出する中国の拡大阻止という2つの理由があるものと考えています。

 

しかし、最近になって複数の信頼できるジャーナリストやシンクタンクの調査から、さらに重要な理由が明らかになりました。当然、2つの理由はトランプ政権のベネズエラ関与の重要な理由であることは間違いないものの、これとは異なる背景があるというわけです。

 

中東のシリアでは、まだ情勢が不安定ではあるものの、アサド政権の存続はもはや既定事実となり、シリア北部に展開しているアメリカ軍も撤退する方向に動いているのは明らかです。今後、シリアはロシアとイランの影響下に入ることは間違いありません。

 

一方、ベネズエラではこれから熾烈な覇権争いが起ころうとしています。このままロシアや中国は、ベネズエラに親米政権ができるのを黙って見過ごすことはないと思われます。もしトランプ政権が、マドゥロ政権の排除を軍事力を使ってでも進める方向に動くならば、ロシアと中国はどう出てくるか、です。

 

さすがにロシアがシリアで行ったように軍事力で直接介入することはないにしても、マドゥロ政権が簡単に崩壊しないように軍事的に支援するのかもしれません。そうなるとそれは、新たな代理戦争の始まりとなります。

 

いずれにしても、いよいよベネズエラで大きな変動が始まるわけで、マドゥロ政権があっけなく崩壊し、親米のグアイド政権が誕生する可能性もありますが、覇権とエネルギーの支配が焦点になっているだけに、反対に泥沼の代理戦争が始まる可能性だって完全には否定しきれない状況です。

 

3月初め頃までには、どのような方向に進むのか見えてくるはずですが、悲惨な方向に発展しないことを願わずにいられません。

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