ワクチン供給時期めぐり対立 トランプ大統領ピンチ
(出典:2020年9月17日 FNNプライムオンライン)
今、一進一退のアメリカ大統領選挙が繰り広げられていますが、アメリカ国内の分断を伝える報道記事やニュース映像が全米各地に流れています。
一方、トランプ大統領は批判や反対ばかりすることで、意図的にアメリカ国内を右派と左派に分断し、二極化させる役割を次々と実行しています。
未だに、抗議運動は全米の大都市で実施されており、西海岸のポートランドやシアトル、中西部のシカゴや東部のニューヨークなどの大都市などでは、BLM運動などの激しい抗議運動は収まる気配がありません。
米雇用統計: 4月は失業率14.7%に上昇-労働市場が急激に悪化
(出典:2020年5月8日 Bloomberg)
アメリカの8月の失業率 8.4%に低下 4か月連続で改善
(出典:2020年9月4日 NHK NEWS WEB)
そのような状況の中、アメリカ経済の順調な回復を報道も増えています。4月に14.7%にまで悪化した失業率は、徐々に改善して8月には8.4%にまで低下したとされています。アメリカ国内では、新型の感染拡大が続いていますが、経済は比較的順調に改善しているように見えます。
11月3日の大統領選挙が無事に実施され、ワクチンが開発される来年は国内の混乱も収束し、元に戻るという見方も出てきています。特に、菅新政権が誕生した日本ではマスメディアを中心に、ポジティブに見ています。
ところが、アメリカ国内に住む友人に電話して聞いてみたり、アメリカ人アルファブロガーなどのネットメディアを読んでいると、そのような楽観的な状況ではないことが分かります。
8月の失業率は8.4%と改善していますが、実際には仕事があっても食料の確保が困難な人々は確実に増えているのが現状です。
まず、食料が確保ができない貧困層は、年末までに5000万人を超えると予想されています。昨年2019年と比較すると46%も増えており、アメリカの総人口の15.7%にも上ることになります。今後、さらに悪化するものと見られています。
'It's a tsunami of people': Food bank in Queens has a quarter-mile-long line as 10,000 desperate families a week seek help amid 20% unemployment due to COVID-19
(出典:2020年8月25日 Daily Mail Online)
全米各地の大都市圏には、慈善団体などが運営するフードバンクがあり、生活に困窮している人々に週数回に分けて食料を配給していますが、これまでになかった膨大な数の人々が列をなしている光景が見られています。
例えば、配給を受けるのに6時間以上も列に並んでいたり、BMWやベンツなどの高級車に乗るホワイトカラーを含め、あらゆる職業の人々が殺到しているというわけです。
昨年までは、フードバンクにやってくるのは貧困層に限られていましたが、新型コロナの感染拡大が始まってからは中間層が増えてきています。数値上ではリーマンショックをはるかに上回っていますが、全米各地の大都市圏で本当に人々が困窮しているのが分かります。
新型コロナで追い込まれるアメリカの若者、4人に1人が真剣に「自殺を考えた」
(出典:2020年9月17日 Newsweek)
また、こうした状況に精神的に対応できない人々も急速に増えており、ある調査によると「うつ病」の症状に苦しむ人々が3月から約3倍にまで増えているようです。このような悪循環が、正常な方向に向かうとは到底思えません。
コロナ禍による将来展望の悪化が、若者のメンタルを蝕んでいる
(出典:2020年9月16日 Newsweek)
このように、精神病に苦しんでいるのはアメリカだけではなく、日本でも全く同じ状況になっています。「働きたくても仕事がない」のではなく、「働きたくても働けない」ということが起こっているわけです。
残り50日に迫ったアメリカ大統領選挙に向け、この悪循環はさらに強化される可能性のほうが高いと思います。なぜかと言えば、民主党と共和党支持者との対立と憎しみがあまりにも大きいからです。
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