会社というのは、社是やキャッキフレーズなどで社員の心を一つにしようとする傾向があります。なぜかと言えば、意識的に未来に向けて良いエネルギーを送り込もうとしているからです。
「会社が繁栄するように…」と社員一人ひとりの潜在意識に働きかけ、経営者のエネルギーを未来に注入することによって、将来的に「売り上げが上がり、会社が繁栄する」という型ができるわけです。
その後、ある程度の時間が経つと、実際に「売り上げが上がる」という現象となって現れることがあります。このように、良いイメージする(エネルギーを出す)ことで本当にそのようになると私は信じています。逆に、悪いイメージの念を送ったら会社は決して存続できないとも思っています。
例えば、1980年代後半(平成バブル崩壊)までの日本の企業というのは、社員がうつ病になろうが、過労死しようが、企業としての結果はそれなりに出ていたと思います。
私が過ごした平成「社畜」時代 会社に寝泊まり、机にはレタス…
ところが、徐々に余裕がなくなってきて、2010年頃からはエゴ(顔・声がデカい)だけでは通用しなくなってしまったわけです。心に余裕がないので、悪い念を出すとすぐに自分に返ってきてしまうようになっています。そして、それは経営者だけではなく、社員にも言えることです。これが今の企業社会の現状です。
私は、1990年代にアメリカで学生起業しましたが、その後は2000年に日本に戻ってきて一人で「Atlasマンツーマン英会話」を設立しました。すでに経済不況の真っ只中にいましたが、2007年までは破竹の勢いで売り上げを伸ばしていきました。
自分で英語を教えていたので、生徒さんからも感謝のお手紙やお土産を頂戴し、それがまたエネルギーとなって売り上げ拡大につながっていったと思います。札幌だけではなく、横浜、仙台、名古屋、大阪に展開し始め、社員や外国人講師を多く抱えるようになりました。
その後、2008年にリーマンショック(世界金融危機)が起こり、売り上げが伸びなくなってしまいました。当然、価格設定の問題や社員のモチベーションの問題もあったように思います。何より各市場のシェアを奪えなかった問題もあったと思います。
ところが、2011年3月11日に東日本大震災が起こり、国全体で復興体制ができたせいか、再び軌道に乗り始めました。そして、2014年4月1日に安倍政権が消費税8%の導入を始めたことで、そこから面白いように毎年売り上げが半分にまで落ち込んでいったわけです。
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様々なマーケティングを仕掛けても一向に売り上げが伸びないだけではなく、札幌では大量に入社した社員のほとんどが退職していきました。つまり、この5年間は袋小路に入ってしまったわけです。
これ以上続ければ、マトモな人生とは言えないかもしれません。それでも「アトラス株式会社」は存在し続け、会社自体は無借金ですが、売り上げを出す勢いはなくなったものの、5つのLS閉鎖によって横這い状態を続けられています。
現在、全国展開は一時的に停止していましたが、これはこれで良かったと思っています。コラムを始めた2017年以降、アトラス株式会社は「売り上げ至上主義」ではありません。むしろ、それを続けていけば破滅への道へ進んでしまうことになりかねません。
要するに、私が言いたいことは「見返り」を期待するやり方がもう通用しなくなった、ということです。それに気づいていながら、方針転換できなかった面もあったことは反省する必要があると思います。
早くに売り上げよりも顧客本意、誠心誠意の心持ちに切り替えて、そのご褒美をいただく、という想念に切り替えるべきであったのは明らかです。
それには、会社そのものを一旦リセットして、ブランドイメージや運営システムを作り変える必要があるのかもしれません。今、どの企業も売り上げだけでなく、企業のマインド面で苦労している現状があります。
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企業経営者の多くは、私のように一体何のために事業活動をやっているのか、自己喪失の危機にあると思います。なぜかと言えば、ユーザーが望むことを一切やっていないからです。問題は想念の中身であって、本当に「自分の幸福より、他者の幸福を考えられるか」ということです。
表向きは祈っていても、心の中は偽りだらけならそれは地獄への道です。そうした想念は「今だけ、金だけ、自分だけ」の念だからです。そして、やがて自分が消滅していくということになります。そうした仕組みに世界が変わってきたのではないか、世相を見るとそんな感じがします。
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もう朝日や読売新聞など読んではならないように思います。本気で情報を得るのなら、「ブルームバーグ」や「ロイター」、そして「ウォールストリートジャーナル」しかなくなりつつあります。
しかも、原語(英語)で読むべきです。いよいよ、英語が読めない人はどうにもならなくなってきました。いよいよ12月以降、私たちも自我を抑制しなければおそらく生き残ることはできないと思いわけです。
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