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今からちょうど10年前、8月に衆議院議員選挙の遊説期間が始まり、私は札幌からニセコ町にある自宅に向かって国道5号線を南に向かっていました。
道の駅があるビュープラザの向かい側に選挙カーが止まっており、当時の民主党候補者が演説をしていたのを覚えています。鉢呂吉雄元衆議院議員が選挙活動を行っていました。そして、その年の4月に私が隣町の蘭越町に住む友人（農家）を訪ねた時も鉢呂氏が顔を出していました。
その後、2011年に野田内閣発足に伴い、経済産業大臣に就任しましたが、たった一週間で東日本大震災に関連する自らの発言の責任を取り、経産大臣を辞職する意思を固め、辞表を提出し、受理された議員のことです。
当時、民主党候補者の前を通る車はどの車もスピードを落とし、そして多くの車が窓を開け、運転席や助手席から思い切り手を振り、笑顔で声援を送っていたのを思い出します。この時、日本国民の多くは自民党の政治に辟易していたように思います。
なぜかと言えば、失われた年金問題や連日のようにスキャンダルにまみれる質の悪い閣僚たちに対して、国民は自民党に憎悪の感情のような感覚を抱いていたからです。
一方、民主党の掲げる主張は「高速道路の無料化」「ガソリン暫定税率撤廃」「子供手当２万６千円の実現」であったわけです。明らかに自民党に対する負の感情と民主党に対する正の感情が、民主党候補者に向かって手を振らせていました。
そして、選挙では投票率が70％まで上がり、ついに民主党政権が誕生したわけです。ここで注目することは、平均55％程度の投票率が70％まで増えたことです。この15％とは普通なら選挙に行かない1200万人ほどの有権者を指しているということです。
今回の参議院議員選挙も、この無党派層であり、浮動票とされている有権者が日本の未来のカギを握っているのは言うまでもありません。今回は、新たに起こっている山本太郎党首の「れいわ新選組」が熱狂的な支持者を集めており、選挙直前の今もその動きは大きくなりつつあります。
今回の選挙で、山本党首が目指す直近の目標を達成することができるかどうかはわかりません。2008年の選挙で大阪維新の会が大勝した際は、人間の持つ負の感情や嫉妬心や憎しみや怒り、そして優遇されている者を引きずり下ろすことにより得られる満足感に火をつけることにより旋風を巻き起こす手法を用いました。
山本党首は、それとは反対に人の持つ正しい感情を目覚めさせることにより、人々を引き寄せているように思います。しかし、誰かのせい（他責）にしていることには全く変わりはありません。
それでも、人の持つ正義感や弱い者を助けたいと思う優しい心、不正を行うものをあくまでも許さない、という強い気持ちや彼らの政策の根底にはこのような人間性の持つ正しい感情が確実に存在しているようにも見えます。
結局、現在の政治構造では、与野党含めて議員になれさえすれば全員が既得権益者になれるということです。具体的に言えば、権力中枢とのつながりや大企業、マスメディア、そして司法・立法・行政を支配する「エリート」と呼ばれる人たちとの人脈もできるわけです。
ただし、政治家や官僚たちというのは、時には言い争いをし、お互いに対立して抵抗するふりを見せて大衆の支持を得ようとする傾向があります。しかし、実は裏で手を回し、お互いの分け前を自分のポケットに入れているのが現状です。
他方、アメリカでも、2011年に「ウォール街を占拠せよ！」という抗議運動が起きたことがありました。この時、多くのアメリカ人は二大政党が交互に政権を担い、マスメディアが政治を監視し、バランスよく運営されることで理想的な民主主義が実現できるという嘘に気づいたように思います。
米ウォール街占拠に発した市民の債務帳消し運動
つまり、カネのある者がロビー活動によって議員を買収し、議会の評決を左右するとマスメディアはフェイクニュースを流し、自分たちエリートに都合の良い世論を形成することに気づいたということです。
今、日本で起こっている政治的な動きとして「れいわ新選組」がネットメディアだけで注目されていますが、これは令和の「ええじゃないか運動！」であるという主張であることは明らかです。山本党首の演説を聞いても、奇抜な考えを持っており、それを実行できる人であるようにも思えます。
しかし、「れいわ新選組」が多くの議席を獲得したところで、結局は何も状況が変わらないというのが私の意見です。なぜかと言えば、反（自民党）と正（れいわ新選組のどちらかが政権を取ったところで、合（政治家）であることには違いがないからです。
ヘーゲルの弁証法（正・反・合）によるアメリカ共和党・民主党の中間選挙
最後に、参議院議員選挙直前の今、私が言えることは、選挙に行ったことがない有権者、あるいは政治を諦めている有権者、そもそも自分とは関係がないと思っている人、これら約5000万人の有権者のうち、どれだけの人数が投票所に足を運ぶかが「れいわ新選組」が次のステップへと飛躍するカギとなるものと考えられます。
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