欧州で起きている極右運動の思想にあるのは「新ユーラシア主義」
(出典:2019年5月14日 Atlasマンツーマン英会話)
ウクライナ戦争が始まる数年前、私たちAtlasはロシアのプーチン大統領の思想的なブレーンであるアレクサンドル・ドゥーギン博士について書いていました。
そして、今年2月24日に起きたウクライナ侵攻後、西側メディアはドゥーギンについて様々なことを報道するようになったわけです。簡単に紹介すれば、ドゥーギンは「新ユーラシア主義」を提唱するロシア側の代表格です。
ロシアには、それぞれの文化には固有の価値観と世界観、そして社会秩序が存在し、それらを守ることを重要視する政策があります。資本主義の世界的な拡大であるグローバリゼーションによって、アメリカの民主主義と新自由主義に対抗しているのが新ユーラシア主義です。
パソナグループ竹中平蔵会長が退任…“政商”と呼ばれ続けたが岸田政権で出番減か?
(出典:2022年8月24日 Yahooニュース)
日本でも、竹中平蔵を中心とした一部の既得権益者だけが、東京オリンピックやコロナ対策などで私腹を肥やしてきました。日本の社会秩序を破壊し、「今だけ、カネだけ、自分だけ」でやってきた自民党議員にも言えることです。
だから、大企業や役所、その他関係各所に従わない人たちは、職場から排除されてきました。アメリカやヨーロッパに一度も行ったこともなく、英語を話せない日本人の多くが無意識に協力してきたことになります。
ドゥーギンは、このような歪んだ社会構造に反対し、各国・各地域でこれまで持っていた文化圏が持つ固有の価値と伝統(多民族主義)を大事にすることで、欧米のグローバリズム(白人優越主義)に抵抗してきたということです。
中国はかつて世界最高の「先進国」だった自国が、なぜ没落したか思い出すべき
(出典:2022年8月5日 Newsweek)
ドゥーギンは「国民国家」について、基本的人権を保証されたひとり一人の国民が民主的な合意によって作り上げる国家、と説明しています。つまり、国家や社会の主権者はあくまで国民という個人であるということです。
また、「文明国家」については、個人を越えた文化的な価値や秩序に基づいて統治される国家、と説明しています。そして、地球上に様々な民族が暮らしている以上、世界経済フォーラムが提唱する世界政府は必要ないと主張しています。
「文明国家」の代表格は中国で、古代から中国人は中国が世界の中心であり、天を統合し地を分割する場所(中華思想)と考えてきました。その後、朝鮮半島や東南アジア、そして日本などに漢字や技術などで文化形成の役割を担っていたわけです。
現代の中国でも、一帯一路などは中国を中心として考えられている経済ネットワークです。しかし、インターネットで情報統制を行ったり、ゼロコロナ政策で大規模な都市封鎖を実施するなど「国民国家」としてはほど遠い気がします。
このことはロシアにも言えることで、長い歴史を持っていることでその価値観や世界観によって統治された国家であるように思います。30年前まで旧共産圏と呼ばれていたロシアも、ひとり一人の国民が民主的な合意で形成されていません。
ロシアがヨーロッパではない「歴史的な根源」
(出典:2022年7月7日 東洋経済ONLINE)
ロシアに住んだことがある人はご存知だと思いますが、ロシアはヨーロッパ諸国とは異なる固有の世界観と価値観を持っています。宗教的な概念や言語、食べ物なども、西側のヨーロッパ人とは少し違います。
1991年にソ連が崩壊した後、ロシアは西側が浸食してくるのを黙って見ていましたが、それを止めたのがプーチン大統領でした。当時、ドゥーギンもロシアの持つ固有の世界観と価値観が破壊されたと強く感じていたようです。
わずか20年で日本のGDPを追い越した中国が、これまで欧米諸国や日本に多くの留学生を送り出し、あらゆる分野で技術力を大幅に引き上げたのは「文明国家」であるからです。一方、ロシアには「国民国家」の価値観を持っている人たちが多いのかもしれません。
今後、ロシアが中国のような「文明国家」を目指す場合、ドゥーギンの思想はプーチンにとって重要なのは間違いありません。ちなみに、日本は「文明国家」を優先させたことで洗脳された政治家が政権を握ってきた時代が長く続いています。
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