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米中貿易戦争から米中軍事戦争への可能性について③
 「台湾の総統選挙に出馬表明したホンハイ社長」

鴻海精密工業(ホンハイ)社長のテリー・ゴウ氏(郭台銘)
巨大EMS企業フォックスコン会長が台湾の総統選に出馬
Image from TechCrunch Japan

 

昨年12月2日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたG20サミット会議で、トランプ大統領は習近平主席と首脳会談で話し合い、結局、中国が妥協した形になりました。

 

この時、中国はギリギリまでアメリカに妥協し、譲歩に譲歩を重ねて撤退戦、つまり世界市場からの退却を行ったわけです。

 

具体的には、中国共産党内のリベラル派が世界基準に合わせるように、急いで民主政治体制に改革すると主張している共青団(李克強首相が中心)が、柔軟路線として習近平政権に条件を飲ませてきたものと思われます。

 

その後、今年4月まで中国はアメリカに対して平身低頭で言うことを聞いていましたが、5月の10連休中にトランプ大統領が全てをひっくり返したというわけです。そもそも、昨年12月2日に開催されたブエノスアイレスG20同日に、Huawei (華為技術集団)の孟晩秋副社長をカナダの政治警察が逮捕、拘束したことから始まっています。

 

ファーウェイ副会長の逮捕とアメリカと中国の対立 2018/12/22 up

 

孟晩秋は、創業者の任正非の長女で次期社長と呼ばれており、トランプ大統領はこの逮捕事件について知らなかったと思われます。なぜなら、この日にブエノスアイレスで習近平主席と「貿易戦争を収拾する」と合意していたからです。 

 

つまり、孟晩秋を逮捕したのはトランプ政権ではなく、アメリカ民主党、つまりヒラリー・クリントン派の官僚組織が行ったことであることが分かるはずです。そして、ここから米中関係は急速に険悪化し始めました。

 

それで中国を怒らせてしまい、カナダ人のビジネスマンを装って中国で動いていた諜報部員2人を報復として逮捕し、現在まで拘束しているといいます。結局、このような諜報戦になると中国人は強く、日本とは異なり、欧米白人に何の劣等感もないため、容赦なく国家スパイ捕獲作戦を実行することができるわけです。

 

5月3日まで米中双方がギリギリまでの譲歩をし、貿易紛争の90%の合意が出来ていたのにもかかわらず、5月5日にトランプ大統領が突然、「中国に追加関税の25%をかける」と決断し、ツイッターにも投稿したわけです。

 

基本的に話し合い(交渉)では、その最中に怒ったほうが負けですが、結局、ディール、つまり取引の達人であるトランプ大統領が交渉のテーブルを自分でひっくり返してしまいました。その後、世界中に波及した米中の貿易戦争の悪影響が出ることになりそうです。

 

そのような状況の中、全てを他人事にしてきた安倍首相も浮かぬ顔をのぞかせるようになりました。テレビのニュースでもその重圧がどれほどのものなのかが少し感じられるほどです。トランプ大統領が来日した5月26日、この最中にも日米交渉は行われていたようです。

 

一方、台湾ではiPhoneの約90%を生産している鴻海精密工業(ホンハイ)社長のテリー・ゴウ氏(郭台銘)が、台湾の総統選挙に出馬すると表明しました。この時、中国と台湾、そしてアメリカとの間で大きな変動が起きることを誰もが感じたのではないでしょうか?

 

他方、香港では200万人もの市民が中国共産党に対して対規模な抗議デモが行われました。そして、次にそれが飛び火するのは台湾であることは明らかです。2020年1月に実施される台湾総統選挙で、テリー・ゴウが総統に当選するか、しないかが世界的に大きな焦点になってきています。

 

要するに、台湾が中国とアメリカとの取り合いになるということです。現在、テリー・ゴウのホンハイという企業は、中国全土にサプライ・チェーンを展開しています。

 

その中には、世界的な半導体メーカーであるインテルやクアルコム、ARM(ソフトバンク)、AMD、サムスンやエリクソン、そしてノキアやEMS(受注組み立て工場)企業も全てはテリー・ゴウのホンハイと深く関係しているわけです。

 

そして、アメリカから締め出された中国のHuawei(華為技術集団)という5Gの基地局の世界最先端企業との競争や、TSMC(台湾積体電路)という台湾で最も重要な大企業が、ホンハイとも競争しています。

 

実は、TSMCはHuaweiにも最高級の半導体を納品しており、その設計図はアメリカのクアルコムということや、それらの基本特許はイギリスARM(ソフトバンク)が保有しているとされています。

 

つまり、いよいよ5Gを本格的に稼働させるにあたり、アメリカや中国、そして台湾を巡る政治的な駆け引きが行われることになり、イランと同様な緊張感が東アジアでも感じられるようになるかもしれません。

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