ソストなマスクに隠されたカリスマ眼光 コ・ス。
彼のマスクは甘くてソフトさが滲み出ている、典型的な花美男スタイルである。濃い眉と大きな目、芸能界で美男子といえば直ぐに思い浮かぶイメージである。しかし彼の演技や話をじっと聞いていると、うかつに下した判断が大きな失敗を犯していることに気がつく。
先ず彼はなかなか笑わない。
にっこりと笑うと大きな楕円形を描き、さっぱりした微笑を見せてくれそうな口を、彼が活用できない(？)のではないかと思えるほど…笑いと妥協しない。そういったことから、じっとしている時、彼はおおむね無愛想な表情が多い。しかし詳しく窺ってみると、どこに行ってもへらへら笑ってばかりいる花美男らとは違い、どこかとても孤独な眼光を持っている。だからといって彼が冷たいとか、情が湧かない顔をしているわけではない。むしろその反対である。

女性たちに憐憫を誘う寂しい彼には、どこか包んであげて、守ってあげたい気持ちが100パーセント湧き上がる魅力がある。心なしか2パーセント遠くを見ている眼光が、女性の心を惹きつけるからである。

放送界を縦横無尽に縫い、出演するドラマごとに大ヒットするコ・スは、『母よ姉よ』で新人らしくない安定した演技で注目され始めた。また続いてドラマ『ピアノ』では、叶わぬ愛の悲しみを包容する役柄を、またドラマ『純粋の時代』では、心に深い傷を負い、世間を冷笑して眺める役柄をすっきりと演じきった。続いて日本のドラマ『やまとなでしこ』をリメイクしたドラマ『窈窕淑女』では、最高のトップスターキム・ヒソンと共演し、至高至純の愛の真髄を見せてくれた。一年ごとに着実にドラマを通じて様々な演技を見せている彼は、たいへん誠実な俳優だと好評がある。

ドラマ制作期間中、体の具合がひどくても、きっちりと約束時間を守り、明け方の撮影も厭わない。これもまた時間の概念がなく、少し人気がでると自分の世界だと思っている、飛んでいる花美男らとは違う面だと言える。物静かで無口な彼が見せる最善の努力のわけである。

2004年、彼にもタレントから映画俳優に生まれ変わるチャンスがやってきた。その初の舞台がまさしく『サム』。ドラマでの落ち着いて真面目な役柄とは違い、タフでカリスマ溢れる強力係の刑事役で登場して話題を集めた。実際、壊れて粉々になっても最後まで諦めることを知らない強靱な性格の所有者で、テコンド公認2段の隠れた実力を思い切り発揮して、“スクリーンデビュー”を果たしたが、それほど大きな興行を残すことができなかった。

そして2006年に軍入隊して、その間活動はしばらく中止した。軍除隊後演劇舞台に挑戦してしばらく呼吸を整えた彼は、2009年映画『白夜行』で本格的に復帰した。ソン・イェジンとの呼吸は勿論だが、一層深くなったまなざしで女性ファンを魅了した彼は、直ちにドラマ『クリスマスに雪が降りますか』で良い評価を受けた。多くを語らなくても多くのことを語るように、彼の顔はただハンサムな青年の姿でなく、演技者コ・スを語っているようだ。特有の雰囲気とまなざしのために、俳優として一層際立つコ・ス。2010年カン・ドンウォンとの映画『超能力者』を準備中の彼が、どんな姿を見せてくれるのか期待される。